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少しだけな(少しだけ過食症気味なのだ)

健全、寶燈、憂愁、綠雨
たばかるな たばかるなかれ
滲んだ空に意味は列を爲し
思い出すのは月の海のことばかり

肥沃な大地の片隅で
湯浴みするをんなの皮膚の感觸を
じいつと思い出してゐる時の
沈默のかたち 複雜で單純な圖形

シンメトリヰでなくて宜しい

蓄音機にも彼なりの持論があり
サー、プツ、サー と
レコオドノヰズの霧雨の中に居る
傘も差さずに 明るくずぶ濡れて

凡ゆる美しさを湛えた水甁
わたしは其處で溺れてゐるのだらう

ストレス ストレス そしてストレス
トレヱスされたスト そして物語ストオリ
走り去る群衆 奪われた休息レスト
もしくは殘りレスト煤と冷水と

暗號のやうに隱された美しさに氣付けないなら
默つて そこに尻をくつつけていろ
ビユンビユンと白銀の星が降る
俺と同等だと思つてゐるのか? お前が?
はは まるで狂つているな

薄く張つた鏡に似た水に浸した體
凍つた薔薇は馨りを凝縮した雫を溢す
息繼ぎは密やかにするべきだ
透明さはあまりにも濁つてゐる

口數は魂を削り 穢していく
陽氣に笑う 酒を飮んで
植物に埋め盡くされた室は
薄暗くて濕つていて息が吸いやすい

此處は私だけの小さな森の底なのだ
ん ああ いや 少しだけな
(はやいうちに なおさなければならない)

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