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ちょっと変な旅 敦賀・金沢 4
森山1丁目。西方寺。
前にこの場所に来たのは、もう45年前。高校1年生のときだった。その頃の父は羽振りもよく、年に何回か家族旅行に出かけていた。たしか、お正月に能登にある会員制のホテルに泊まっていたんだと思う。
能登に泊まった帰り道、金沢を観光することになり、最後に寄ったのがこのお寺だった。ここにはボクのご先祖さまで、当然父のご先祖様でもある越野家のお墓があるとのことだったが、ボクだけでなく、じつは父もはじめてこの寺を訪れたのだった。
しかし、残念ながら、そのときは大雪のためお墓のあるエリアに入ることができなかった。父が「これでお供え物を」と住職にお札を渡したことに、高校生のボクはイラッとしていたことを覚えている。
以来、機会があればちゃんとお参りしてみたいと思っていたのだが、なかなかその機会が訪れず月日は流れ、、今日、ようやくそのチャンスがやって来たのだった。
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しかし、結果は惨敗だった。
名前が判読できるものだけでも“越野”というお墓が5つぐらいある。その場でLINEで母に尋ねてみたが、父の先祖なので母は何も知らない。そして、最近、息子の顔すら覚束ない状態となってしまった父は「なんやそれ?」というギャグのような応答を繰り返すのみだという。
何の手がかりもない状況では、ご住職に尋ねることすらできず、しかたなく、お墓のあるエリア全体に手を合わせ、写真を撮って撤退した。あとから気づいたのだが、よくよく考えれば、このときが現越野家とここの墓に入っている遠いご先祖様との永久の別れだった。
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“金沢21世紀美術館”は、震災の影響でほんの一部を除いて休館中。これで、今回の旅の目的地にはすべて訪れたことになる。まあまあの空振りだが、これでいい。あとはお昼ごはんを食べて、土産物を買って帰ろう。
美術館の裏から市役所の南側をたどると、金沢城西外惣構跡の風情ある景色を眺めながら香林坊に至ることができる。その道沿いに、おいしいそうなそば屋というか、飲めそうなそば屋があったので入ってみた。
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大当たりだった。
旬菜三点盛りも、おひたしもおいしい。特に三点盛りのかずのこが、なんと柔らかくてすばらしい食感か! 日本酒もたくさん紹介していただき、最後はざるそばで〆めさせていただいた。
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そば屋を出て駅まで行き、森八や田中屋などの有名菓子店で土産を買っていると、なんと同じフロアに“農口尚彦研究所”の直営立ち飲み店を発見!!! しかも、まだ開店3日目だという。
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が、時間がない・・・。ボクたちは3時31分発のサンダーバードで京都へ帰らなくてはならない。
が、運転見合わせ・・・。なんと、高架線のトラブルにより、特急列車の運転を見合わせているという。
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というわけで、「運転見合わせ」という悲報と朗報合い混ぜの事態により、急遽ホテルの予約を取り、そのあとは当然のように“SAKE食堂”へ滑り込んだ。
“農口尚彦研究所”というのは、下に引用したとおりの魅力的なところで、ずっと訪問したいとは思っていたが、なにぶん交通の便がよろしくなく、未だ実現できていなかった。
能登杜氏四天王の一人と称される、日本最高峰の醸造家 農口尚彦杜氏。農口杜氏の酒づくりの技術や精神を次世代に継承すべく2017年11月に石川県小松市観音下町(かながそまち)に「農口尚彦研究所」が新設されました。農口杜氏自らが、働きやすさを目指し図面を描いた酒蔵で、ロゴマークは、農口尚彦の頭文字である「の」の字をかたどりながら、利き酒で使うおちょこの「蛇の目」をイメージしたデザインとなっています。どの部屋からも、醸造室を見ることができ、蔵内には8席限定のティスティングルーム「杜庵(とうあん)」が併設され、農口杜氏の酒を知るだけでなく、味わうこともでき、テイスティングした日本酒を購入することも可能です。
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明日は午前中仕事を休むことになるが、関係ない。いや、電車が動かないのだからしかたがない。思いも寄らず、すばらしいご褒美を受け取り、旅の最後を締めくくった。
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