バリ島音楽と芸能の旅2024 -5.バリ舞踊に触れる(Sekarさん一家と)
5回目は滞在中に触れたバリ舞踊についてです。
バリ舞踊をご存知ですか?もちろん私も踊りについては詳しくないので、正しい定義を述べることはできないのですが、私が見た主観的な印象で言いますと、まず特徴的なのが左右に肘を張って胸を開いたポーズ。そして指先を開いて細かく揺らします。
私はいつもカエルのようだなと感じます。バリの芸能って、音楽にしろ踊りにしろ、かなりカエルの影響が大きいのではないか、といつも思うのです。常にカエルの大合唱に囲まれている環境の影響は間違いなく大きいと思います。
このポーズはいかにもバリ舞踊らしい特徴だと感じます。また、目を見開いたり、視線を動かしたりするのも特徴です。これがとても難しそう!
重心を低く、腰を落として足をバタバタ動かすことはありません。大きく手足を動かしたりする激しさはありませんが、グッと張った腕や目力の影響か、とても力強く迫力のある踊りに感じられます。
今回も滞在中、いろんな形で踊りに触れる機会がありました。
1.ダンサーIbu Sekar氏一家との再会
今回、ぜひ再会したかった大好きな芸能者の一人は、素晴らしいダンサーであるSekarさんです。6年前の滞在時にもSekarさんはじめ、娘のSriさんやそのご家族には大変お世話になり、本当によくしていただきました。Sekarさんの叔父に当たる、Pak Jimat氏はかつてトペンダンスの大会で優勝した、大巨匠のダンサーです。そのJimatさんを中心に、親戚一同皆芸能者という芸能一家です。とても世話好きなご家族で、いつも「ご飯食べていきなさい」とか「明日〇〇があるからいつでも来なさい」などと暖かく迎えてくださるのです。
今回もスタジオにお邪魔して久しぶりに再会することができました。そして、大巨匠Jimatさんも、だいぶ足腰は弱っているようでしたが、まだまだお元気で、澄んだ瞳の可愛らしい笑顔で迎えてくださいました。
その後、ご自宅にお邪魔し、お昼ご飯をご馳走になりました。そこで、前回もお会いしたSekarさんの娘のSriさんや、その息子ハルカと娘ハルシャ、親戚のギリくんやその両親など、なつかしい皆さんと再会できました!
今回の旅は、つむぎねメンバーでダンサーの尾形直子ちゃんもご一緒しました。彼女はコンテンポラリーダンスをベースに、つむぎねのパフォーマンスでもいつも踊ってくれているのですが、近年ジャワ舞踊も習い始め、今回は初めてバリ舞踊も挑戦したい!と、やってきました。
彼女にぜひSekarさんのレッスンを受けて欲しいと思ったのですが、今回はSekarさんがちょうど翌日からイタリアへ1ヶ月のツアーで行かれるとのことで、残念ながら叶いませんでした。しかし、ぜひ次回にということで、この食事の時に、Sekarさんがバリ舞踊について少しだけレクチャーしてくださいました。それが本当に素晴らしかった!ひとたびSekarさんが歌いながら動き始めると、ものすごく引き込まれて目が離せなくなってしまいます。突然力強い歌声が飛び出し、例の両腕を広げる手の動き、そして表情が本当に豊かで、ご飯の合間に茶の間で座りながらの動きでも、やはりその表現力に圧倒されてしまいました。同行したなおちゃんも思わず感涙していました。
私が初めてSekarさんのパフォーマンスを拝見したのは、前回滞在時。村のお祭りでのパフォーマンスを見たのですが、正直見る前は、踊りに詳しくない私にもその凄さが分かるのだろうか、、と思っていました。しかし、踊りが始まると、上述と同様、その非常に豊かな表現力、微細な表情の変化と惹きつける力に圧倒されてしまい、これは上手い、下手のレベルでなく、すごい!の域だ!と深く感銘を受けたのです。
そのSekarさんの豊かな表現を、こんなに間近でたくさん見せていただき、本当に感激至極の時間でした。(下は悲しい表情の表現。先ほどと全然空気が変わります)
後半は、孫たち二人がSekarおばあちゃんの口車ならぬ、歌車にのせられ?Sekarさんが歌い出すと、それに乗せられてそれぞれ踊りを披露してくれました。さらにハルシャがどうやら最近子供達の間で流行っている?ポップスダンスを踊りたいと、Youtubeで音楽を流し、なおちゃんを従えて踊り始めました。すると、途中からSekarさんも参戦して大盛り上がり!とても楽しい時間となりました。
これからもこのご家族との交流が続くことを願っています。そして、孫たちの成長も著しく(前回あった時、まだハルシャは2歳でした!)、次回会うときはさらに立派に成長していることでしょう。バリ芸能の未来を担う彼らの活躍も楽しみです。