科学を邪魔する「再帰性」

「再帰性」という概念をご存知だろうか?

この概念は、デジタル大辞泉「再帰性」の解説によると、以下の通りだ。

さいき‐せい【再帰性】1 もう一度戻ってくる性質。
2 言語学・社会学で、動作主が自己を含めて何らかの行為・指示・言及の対象とする性質。

平たくいうと、何かしらの想定をすることで主体の行動に影響が出る、ということだ。

例えば、教育において、少人数のクラスのほうがパフォーマンスが良いというようなことが言われていれば、それを知っている主体(その少人数クラスで学んでいる学生)は、自信を持ち、よいパフォーマンスを発揮するかもしれない。

それは、そもそも、少人数なら先生と生徒のコミュニケーションが活発であるという理由でパフォーマンスがよいとされていたことの範疇を超えて、よいパフォーマンスをもたらす。

こういう影響を観察の対象にすると、いわゆる実験的な実証はなかなかその結果が有意義であることを主張できない。

相互作用ともいわれるようなこのような影響を考慮したら、人間の内面を対象とするような人文科学は難しい。

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