集客費用とは社会的に何なのか
われわれは、日々、生きている中で、街を歩いたり、スマホやテレビ画面などを通じて、様々な情報を得る。
その中で、新しい情報に気づき、興味を持ったりする。
一人の人間が一日起きている時間が17時間だとする。
われわれは、17時間の覚醒状態のときに、何かしらに意識を向けている。主観的な体験である。外を歩いているときは、前方の景色や匂いに。PCを使っていれば、スクリーンのどこかに集中している。
企業の商品やサービスは、この17時間のどこかに忍び込み、認知を得ようとする。
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一方の企業側からしてみれば、商品やサービスを作り、売るための一番の不確実性は、集客コストだろう。
一般的な消費者の購買行動モデルとしてよく使われるAIDMAは次の5つのプロセスから構成されている。
A…認知・注意(Attention)
I…興味・関心(Interest)
D…欲求(Desire)
M…記憶(Memory)
A…行動(Action)
各段階、特に最初の認知をどう取るかで企業は激しく競争を繰り広げている。
自社の商品の潜在顧客にピンポイントで、情報を伝え、認知を取りたい。
やり方としては、広告、広報、PRなどの方法で、認知を意図的に狙って作るのだ。
広告でいえば、グーグルのリスティング広告などはその効率化の典型であろう。
広報やPRは、広告ほど、直接的にピンポイントでターゲットを狙えないが、商売や宣伝ぽさを軽減することができる。
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認知を得るところから、購入までを「集客費用」と理解すれば、この集客費用とは社会的に見てなんなのだろうか?
広告に限って話を進めると、こちらのサイトによると広告とは以下のような種類がある。
Web・インターネット広告の種類
①リスティング広告(検索連動型広告)
②ディスプレイ広告
③ネイティブ広告・SNS広告
④動画広告
⑤デジタル音声・オーディオ広告
ヒューマン広告の種類
①アフィリエイト広告
②インフルエンサー広告
③ライブ配信広告
マスメディア広告の種類
①テレビ広告(CM)
②新聞広告
③雑誌広告
④ラジオ広告
セールスプロモーション広告(SP)の種類
①チラシ広告
②交通広告
③屋外広告・OOH広告
④DM広告・同封・同梱広告
⑤イベントプロモーション
IoT時代の広告
①デジタルサイネージ広告
②ジオターゲティング広告
このような広告の中から、自社の商品の潜在顧客層に向けて最適な種類の広告を選ぶことになる。
高齢者向けの商品なら、テレビがよく、昼の帯番組のCMなど最適だろう。
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広告ではなく、広報やPRだとどうだろうか?
これも、消費者の主観の認知の奪い合いという意味では同じだ。
話題になり、テレビや雑誌に取り上げられ、潜在顧客の目や耳に入ったり、その人の周りの友人・知人が話題として話すなどで、伝わっていく。
ただ、これは広告と違って、社会心理的な要素が強く、どのようなものに注目が集まるのか、そして、それがどのように広がっていくかが読みにくい。
広告であれば、ネットのページの位置であったり、街の駅前のビルの一面とか、固定で認知幅を購入できるが、メディアに取り上げられる方法は、そう簡単ではない。時代や人を読む必要がある。
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広報やPRも集客費用と捉えることに反対する人もいるだろうが、認知を取り、それが商品購入を目的としているなら、集客費用といえるだろう。
(ブランドを作り、商品の消費体験を豊かにするという狙いもあるかもしれないが、それは検証が難しい)
では、集客費用とは社会的にみて何なのか?
企業から見たら、集客費用とは、消費者の17時間の主観を、効率的に奪い合うための戦いにかかるお金である。
この戦いは、社会から見れば、必要なものが、必要な人に届くための、調整の場だといえる。
駅前の大広告や、ゴールデンタイムのテレビCMなどが高いのは、人の主観に入りやすいため、その主観のリソースを無駄に消費しないためだ。
80歳のおじいちゃんに、ムキムキになるための筋トレブートキャンプの情報を見せたら、リソースの無駄とカウントされる。社会的には。(それが違う何かを生むかもしれないが)
神が、企業たちに、どの広告や公報、PRの手段で、どのように情報を発信するのが、最適な潜在顧客にアプローチする方法かを探させている。