「目的と手段」を混同していませんか?
内資系製薬会社で営業管理職をしている安村です。
本社が決めた活動プランが毎月のように現場へ落とされ進行率を比較され、実行するMRは活動することが目的になっているケースが多いのでは?
何度も何度も同じ事を言っているのですが「目的と手段」を混同しない。
これはメンバーにその事を考えてもらう為に物語にして伝えた内容です。
物語の舞台は、「グローバルファーマ」という中堅製薬会社。ここで働く若手MR(Medical Representative)の佐藤健一は、会社の期待を一身に背負い、新薬「ヘルシア」を病院やクリニックに売り込む日々を過ごしていました。
第1章:目標への執着
佐藤は新薬「ヘルシア」の販売目標達成に向け、毎日遅くまで働いていました。彼の上司である鈴木課長は、月末までに1000箱の売上を達成するよう強く求めていました。佐藤はこのプレッシャーを受けて、何としても目標を達成しようと躍起になっていました。
第2章:手段を問わず
佐藤は、目標達成のために「ヘルシア」の効果を強調し、医師たちに頻繁に訪問しました。しかし、彼は次第に目的と手段を混同し始めました。目標達成のためなら、説明の回数を増やせば良いと考え、一方的に薬の効果だけを説明するようになりました。
ある日、佐藤は大手病院の田中先生を訪れ、「ヘルシア」の優れた効果について長々と話しました。しかし、田中先生が具体的な患者の症状や処方のタイミングについて質問すると、佐藤は明確な答えを持っていませんでした。佐藤はそのまま次の訪問先に急ぎ、同じように効果を一方的に説明することに専念しました。
第3章:結果と代償
月末になり、佐藤は目標の説明回数を達成しました。しかし、医師たちは佐藤の一方的な説明に不満を感じ、実際に「ヘルシア」を処方することは少なかった。田中先生をはじめ、他の医師たちも具体的な使用方法や適切なタイミングについての情報が不足しているため、患者に適切に処方することができなかったのです。
第4章:気づきと改心
会社の月例会議で、佐藤の上司である鈴木課長は、彼の報告を聞いて驚きました。「説明回数は達成しているが、処方件数が全く増えていない。これは一体どういうことだ?」と問い詰めました。佐藤は、自分が手段を目的として混同し、医師たちに一方的な説明しかしていなかったことに気づきました。
鈴木課長は佐藤に対して、「我々の目的は薬を売ることではなく、患者さんに適切な治療を提供することだ。そのためには、医師に正確な情報を伝え、どの患者にどのタイミングで処方すれば良いかを理解してもらうことが重要だ」と指摘しました。
エピローグ
佐藤は自身の過ちを反省し、改心しました。彼は医師たちに対して、具体的な患者の症状や処方のタイミングについて詳しく説明するよう努めました。結果として、「ヘルシア」は徐々に医師たちの信頼を得て、適切に処方されるようになりました。佐藤は真のMRとして成長し、患者に最適な治療を提供するための重要性を理解しました。
この物語は、MRが目標達成のために手段を混同し、目的である患者の適切な治療を忘れてしまうことの危険性と、その結果生じる問題についての教訓を示しています。