①少年はどこで寝よっかな。(425文字)


夏の午後、少年は縁側に座り、ぼんやりと外を眺めていた。暑さのせいか、まぶたが少し重い。

「この世のものすべてに寝心地があるとしたら……」

そんなことを考え始めたのがいけなかった。

まず、庭にある大きな石。ごつごつしていそうだけど、日が当たってあたたかい。ひんやりした影の部分に頭をのせたら気持ちいいかもしれない。

次に、風に揺れる洗濯物。ふわふわしていて、まるで雲の上に寝転がるみたいだろうか。でも、風に飛ばされそうで落ち着かないかもなぁ。

それから、軒下の猫。あのモフモフの上に寝ころべたら最高に決まっている。でも、猫に迷惑かな。

少年は考えながら、そっとごろんと横になった。

目の前に広がる青空。あの空に浮かぶ、綿菓子みたいな雲の寝心地って、どんな感じだろう。たぶん、ふわっとしていて、すぅっと体が溶けて……。

――気づけば、少年は小さく寝息を立てていた。

自分の腕枕の感触は少し硬かったけれど、昼下がりの風がそっと撫でるように吹いて、彼の夢を心地よく支えていた。

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