2021年前半の押韻論のまとめと今後の展望
こんばんは。Sagishiです。
今回はちょっとラフな感じで、2021年前半を振り返っていきます。
2021年前半だけでも、色々な押韻や言葉の響きに関する記事を書いてきました。代表的な仕事は下記ですね。
①リズム単位に関する考え方の提示
https://note.com/yasumisha/n/nf32d9e3249cc?magazine_key=m3cf6c1dcbf88
②多音節韻(Multisyllabic Rhymes)の紹介
https://note.com/yasumisha/n/n3739dba29d56?magazine_key=mdf1f52eedc3f
③日本語の「重音節の押韻」を定義
https://note.com/yasumisha/n/n57be9086282f?magazine_key=mdf1f52eedc3f
④日本語の完全韻の概念整理
https://note.com/yasumisha/n/n0d26cd2bdba2?magazine_key=mdf1f52eedc3f
⑤響きの指標の構築
https://note.com/yasumisha/n/n155a9a705004?magazine_key=mdf1f52eedc3f
①ですが、あまり良い戦果を残せたとは言えない状態です。「頭の体操」程度にはなりますが、日本語のリズム構造がそうなっているという確証が、理論的にも実践的にもない状態です。それぐらい「日本語の韻律単位」は強敵だと分かりました。おそらく、この数年内に決着がつくことはないだろうと予想されますし、今後の語感踏みの研究には打撃になります。
②ですが、USのオーソドックスなライムタイプを知ることができた、という意味で大きな回収がありました。日本でMultisyllabic Rhymesについて話題を出すひとは、少なくとも私の周辺にはいなかったので、個人的にも大きい情報になりました。RakimやEminemのライムは大部分がMultisyllabic Rhymesになっているので、これを知ることで、よりUSのHIPHOPを楽しむことができるようになって非常に嬉しいです。
特に、楽曲制作やフリースタイルでも使えそうな、「実践的」なのは③の「重音節の押韻」ですね。これまでの日本語ラップの世界では、「重音節」というのが存在する、というのは意識されていません。当然、議論もされてきませんでした。今後、新しいラッパーたちや、押韻分析に「重音節」を使ってもらうことで、ライムの解像度の向上が期待できます。
④は超学術的な記事なので、押韻分析マニア以外にはあまり使えないですね。個人的には、英語のパーフェクトライムの概念を整理することで、いかに日本語におけるライムタイプ、「完全韻」の位置付けが難しいのかが分かりました。日本語のライムタイプの整理は、今後の課題です。
⑤は、ようやくこの記事を書けたか、という気持ちです。まだまだ多くの課題はありますが、少なくとも「音節」「子音の属性」「アクセント曲線」は、音の響きのレベルを評価する際には、使える指標だと思います。
また、今後私が押韻分析をする際の表記法も、だいぶ固まってきました。⑤の記事で実践していますが、今後は下記のような書き方で押韻分析をしていくことになる、と感じています。
日本語の押韻分析 [ni.hon.go.no.oː.in.bun.se.ki]
素人も本気にするぜ [shi.roː.to.mo.hon.ki.ni.su.ru.ze]
個人的に、この書き方はめちゃくちゃしっくり来ています。
今後は、この表記法をどんどん使って、押韻分析をしていこうと思っています。あとは、まだ良い結果は得られていませんが、語感踏みについても、改めて色々と見解を書いていこうと思っています。
とにかく、語感踏みを語る時には、「押韻」と「響き」を厳密に、意識的に分けて議論することが必要だと感じています。このあたりの考えは、また一本の記事にしていこうと思います。
2021年後半は結構忙しいので、語感踏み以外にはあまり押韻分析の記事は書けないかもな~と感じていますが、ポイントポイントで良い記事が書けそうだったら、やっていこうと思っています。
では、今日はこれにて。