対照押韻論:イタリア語中心の分析
こんばんは。Sagishiです。
今回の記事は、次期・日本語の「完全韻」構想を書いていきます。2021年にはじめて「完全韻」の定義について記事を書きましたが、時間を経るにつれ、自分のなかでも色々考えが変わってきました。
1 イタリア語の脚韻
1-1 システム
「イタリア語」の押韻スタイルを調査して、面白いことが分かった。
ダンテのテルツァ・リーマは「1行11音節で、三位一体の脚韻手法」だとは聞くが、どういう押韻スタイルなのかは理解していなかった。
イタリア語というのは基本的に語末2音節目がストレス音節になるという特徴がある。ゆえに「oscura/dura/paura」のセットのうちストレス音節韻になっているのは「u」だということだ。
語末音節の「a」は非ストレス音節韻だから、ここは現代的に言えば、別に押韻していなくても良い、あまり重要ではない音節ということになる。(このことから、ストレス音節は2モーラであり、非ストレス音節は1モーラであることが予想される)
イタリア語の脚韻というのはDouble rhyme(英詩で言うと「Fashion/Passion」のような脚韻)が最も基本的になるということだ。これは驚きであり、ユニークを感じる。
語によっては、語末音節にストレス音節が来ることもある。
この場合、1行10音節で構成しても良い。逆に、強弱弱音節の語の場合は1行を12行で構成しても良い。それがイタリア語のテルツァ・リーマの韻律システムルールだ。語のストレス位置に合わせて、柔軟に韻律を整合させることができるシステムであると分かる。
1-2 語体系の差異
また、イタリア語と英語の語体系には差異があり、イタリア語は開節音の語が支配的であるのに対し、英語は閉節音の語が支配的である。
同じ脚韻でも、イタリア語は開節音によるDouble rhymeがほとんであり、英語は語末閉節音によるものがほとんどになる。
1-3 完全韻とは
なので、完全韻のカテゴリーにはそもそもとして『開節完全韻』と『閉節完全韻』で分けたほうが良いのでは、という疑問がわく。そしてこの直感はおそらく正しい。
というのも、イタリア語のDouble rhymeは、非ストレス音節のOnsetが揃っていることが支配的だからだ。つまり、イタリア語も日本語と同様に、OnsetをあたかもCodaのように使う。
完全韻と言いつつ、かなり種別分けできることに気づく。こういうふうに対照的に押韻を調べて、関係を整理しいる人間はたぶんわたしだけだろう。