詩歌:河口へ
蛇口から落ちる水に手を浸した
顔を洗い、口を漱ぎ、頭を空にする
「何時からだろう、わたしたちは
身の丈以上を求めた」エゴみたいだ
くらべるだけのこころの醜さ「背伸びは嫌」
嘲笑や非難でたがいを遠のけて
正義を振りかざすことが知性なのか、相手を尊重せず
罵倒ばかりが並ぶ社会の手のひらには
あなたは掬われていますか? 余計な一言をはき
自己弁護と雄弁なナルシシズム、語り継ぐ
その生き方を幼子に誇れるのか?「わたしは嫌」
美しく、しずかな眼で、人の子となり
澱みと穢れを抱きとめ、河口へ 川のような
その厳かさよ、雄壮さを大声で
伝えたくなる。誰とも言い合わず穏やかに、超越
ありのまま首すじに吻れて、水は肌を透過