詩型論:「複数音制約」と押韻詩型
こんばんは。Sagishiです。
今回は、前回書いた「複数音制約」と絡めて、日本語の押韻詩の詩型論を書いていこうと思います。連載記事的な。
1 前段/モーラリズム
以前書いた詩型論では、日本語の二重韻律構造をもって、韻律定型を構築することの難しさを記述しました。
しかし、結局のところ日本語はモーラリズム言語なんだから、モーラを基礎韻律単位として詩型を構築するしかない、と考えを落ち着けました。よって今後は、どのようにしたらモーラリズムを使って詩型を構築できるのかを考えたいと思います。
2 五七句と「複数音制約」
さて、日本語にとって馴染み深いリズム定型といえば5モーラ句と7モーラ句です。いわゆる和歌の構造ですね。
しかし、日本語のアクセント句≒rhyme区間というのは複数音になるのが一般的で、かつ長さを一定にし続けるのは難しく、可変的な特性をもっています。
そもそもrhyme区間そのものが5モーラや7モーラに渡ることもままあり得るため、5モーラ句や7モーラ句の内部にrhyme区間をインクルードさせるのが最適なのかというと、かなり難しいといえます。
日本語のアクセント句、つまりrhyme区間の長さが可変であるならば、どのような詩型にすれば「美しい日本語の押韻定型詩」が構成できるのでしょうか。
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