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”Why to マーケティング”発想へ

コロナの影響で時代は大変化の時代へと投入した感がある。コロナの影響と言うより、これまで蓋をしたり見ないふりをしてきた問題や課題が一斉に噴き出してくる、そんな事だろうと感じている。

働き方の問題、教育の問題、地球環境の問題、過疎の問題、格差の問題などなど、コロナがこれらの問題をまったなしに我々に迫ってくる。

マーケティングとは”人を気持ちよく動かす仕掛け・仕組み・考え方である”と私は定義している。課題や問題は全て人間が関わっている以上、人が動くことでしか解決できない、とすれば、今こそ、マーケティングはその本来の機能を発揮し、課題解決に貢献することが期待されると言える。

大変化に時代にマーケティングが貢献するためには、より課題の本質に迫ることである。つまり、これまでのマーケティングの活動の中心となっていた「どうやってやるか」というHow to発想から、「なぜやるのか?なんのためにやるのか?」といったWhy to発想への転換が求められている。

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そうやって周りを眺めてみると、本屋のマーケティング関連の棚に並ぶのは、マーケティングHow to本だらけであることに気付く。本来、"why”になるべき、インサイトやデザイン思考、UX思考なども、How toに寄った内容のものが氾濫している。まあ、簡単にやれるHow toが求められている現状だから仕方ないことかもしれない。

”マーケティング近視眼”を提唱したあのT.レビットの時代(アメリカにおける鉄道事業や映画産業の没落の時代)と同じくらいの大変化の時代になると考えるからこそ、現代のマーケティング近視眼に陥らない心構えが必要である。

Why to を考える近道は、「我々が提供しているものは、本当のところ何なのか?」という問を自問することである、と私は考える。

たとえば、マーケティングの教科書の最初に出てくる”ドリル”の話。お客はドリルを買うのではなく、「穴」が欲しいからドリルを求める、という話。当たり前に聞こえるが、業界にどっぷりつかっているとこれがなかなか難しい。引いて見れなくなる。

ドリル

ドリル会社は競合が”1万回転/分”のスゴいやつを開発したと聞いたら、うちは1万2千回転だってなってしまいがちである。考えるべきは、今、穴を必要とするお客がどれだけ存在するかということ、DIYやっている人以外で穴を欲している人がいるだろうか?? ドリル会社はそのことを一番に考えるべきなのである。これがWhy toの原点である。

「我々が提供しているのは、本当のところ何なのか?」という問を、例えばマスメディアの一つである”新聞”に発してみよう。”新聞”とは、その語源から「新しく聞いた話」を届けるものとなっている。その原点から今の新聞を眺めてみると、、、新聞で初めて知った話がどれだけあるだろう。一面の情報は既に耳に入った情報ばかりである。テレビ欄だって、今、誰が欲しがっているのか?天気予報もそうである、新聞の予報は「いつ立てた予報だよ!」って感じである。外出する時に、会社までの天気はどうだっけ?と新聞を見る人がどの位いるだろう?!きっと、スマホをみんな見るよね。

メディア

とすると、新聞は何を提供できるのだろう。新しく聞く話ではないが、スマホで聞いた話のその奥や裏までの詳細を知る? ネットが取り上げない地域の小さい情報をくまなく教えてくれるから読む? これからの新聞の生きる道を考えることこそ、Why to マーケティングなのである。

Why toに変わるとマーケティング会社と言われる広告代理店やPR会社の仕事 も変わってくるはずである! これまでのHow to マーケティングの仕事は、例えば、プラボトルを提供する会社が、有型(既に持っている)金型に合わせて、オーダーにちょうどいいサイズを選んで、販売するという形式に似ている。つまり、自分たちが既に持っている(これも自分たちが作ったのではなく、世の中に出回っている既存の方法が多い)手法の中から、クライアントの要望に合わせて、よさそうなものを選んで当てはめていく仕事になる。

これが、Why to マーケティングになると、そうはいかない。クライアントの課題を聞いて、ゼロベースでその課題の本質を一緒に探っていくことになる。ゼロベースというより、マイナスベースまで深入りしていくというイメージかもしれない。捉まえた本質の解決を、これまでとは違う考え、仕組み、仕掛けで考え、それを実施すれば、全く新しいやり方になってくるのである。マーケティングのイノベーションは、ここから生まれてくるはずだ!

本質発想

How toに比べ、Why toは遠回りである。ヒト・モノ・カネをたくさん喰う仕事になる。しかし、これからの難しい課題解決の時代を乗り越えるためには、Why toのアプローチしかないのである。

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Whyへ挑戦する企業や組織が、新しいイノベーションを起こし、これからの課題の時代を変えてくれることを期待したい!!

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