”データが現代の黄金”読書note99「アルゴリズムの時代」ハンナ・フライ著
AIやDX、自動運転などなど、これからの時代を動かすのはアルゴリズムであるという認識で書かれた本。つまり、データサイエンスの本であり、その可能性と危うさに迫っている。私たちはそれをどう選択するのか?
影響力とアルゴリズム
人の判断とアルゴリズムの判断、どちらを優先させればいいのか?(中略)人とアルゴリズムの予測能力の比較結果が書かれていた。そこから導きだされた結論は、どれほど単純なアルゴリズムでも、ほぼすべてにおいて人の予測より勝っているというものだった。
人は物事を黒か白かで判断しがちだ。アルゴリズムを全能の神か、あるいは役立たずのがらくたかのどちらかに決めつけてしまう。
データとアルゴリズム
データが現代の黄金だとしたら、私たちはゴールドラッシュに沸く西部開拓時代に生きているようなものだ。(中略)データとアルゴリズムは買い物の習慣を予測するだけでなく、人から自由を奪いかねない。
正義とアルゴリズム
「いい人と悪い人がいた場合、アルゴリズムはこんな風に考える。”誰がダース・ベイダーで、誰が、ルーク・スカイウォーカーなのか?”」ダース・ベイダーを釈放するのは「見逃し(偽陰性)」と呼ばれるエラーだ。本当は再犯リスクが高いのに低いと判断することだ。逆に、ルーク・スカイウォーカーを刑務所に入れるのは、「誤検知(偽陽性)」と呼ばれるエラーだ。
今まさに、我々はコロナ陽性の判定で、見逃しと誤検知の問題と向き合っている!
医療とアルゴリズム
アルゴリズムの精度を上げるには、感度と特異度のどちらかを優先させなければならない。片方を優先させれば、もう一方が失われる。
車とアルゴリズム
自動運転で問われるトロッコ問題は、まさにアルゴリズムをどうするかという問いである。
自動運転車は歩行者を轢いてでも、乗っている人を救うのか?
さらにむずかしいのは、ときには交通ルールを破らなければならないのを、どうやって車に教えるかだ。救急車が狭い道を通ろうとしていて、車を歩道に乗り上げなければならないとしたら?田舎道でタンクローリーが運転操作を誤って道をふさぎ、それに巻き込まれないように、逃げなければならないとしたら?
まとめと感想
否応なく、様々な所でAI、つまりアルゴリズムを使った機械の判断と付き合っていくことになる。
完璧なものは存在しないことを受け入れてはどうだろうか?アルゴリズムはミスを犯す。アルゴリズムは不公平だ。人間同様、アルゴリズムも完璧ではないことを頭に入れておけば、アルゴリズムの言いなりになるのを防げるはずだ。あらゆる段階で人が介入できるのが最良のアルゴリズムだと、私は思う。機械が出した答えを鵜呑みにしがちな人間の癖を理解していて、なおかつ、アルゴリズム自身の欠点を受け入れて、エラーを隠そうとしないアルゴリズムだ。
コンピュータの助けを借りてチェスをすれば、予測に長い時間を費やす必要がなく、戦略を練ることに専念できる。すると、人の創造力は何倍にもなる。
藤井君は、練習でコンピュータを使っていると言う。ひょっとしたら、こうやって、想像力を伸ばしているのかもしれない。