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SNSマーケは”BUZZバズる”より”PUZZLEパズれ” 

熊本県内の成功事例を2例とともに、地域の地域による地域のためのSNSマーケティングの方向性について考えるセミナーを開催した。定員45名満席となり、関心の高さを実感した。その概要を紹介する。


マスメディアからのシフト(SNSの台頭) 

電通報(https://dentsu-ho.com)

上図のように、この20年で日本の広告界(プロモーション業界)は大きく変動している。4大マスコミ⇒インターネット広告へ大きくシフトが起こっているのだ。このインターネット広告と今回取り上げるSNSマーケティングとはどんな関係にあるのか? ちょっとググって整理してみる。

筆者作成資料

インターネット広告の内容を見てみると、リスティング、バナー広告など、今までTVや新聞を使っていた広告をインターネットやSNS媒体に乗せ替えたというシフト構図が見えてくる。一方、SNSマーケティングでは、LINE広告などのSNS広告以外に、企業アカウント(企業自体が自らSNSを展開する)、個人で媒体を持ち発信するインフルエンサーとコラボするインフルエンサーマーケティングなど、従来では考えれなかった新しいアプローチが生まれている。今回、テーマのSNSマーケティングはまさにここにフォーカスしている。

熊本での成功事例紹介

(1)地方自治体のケース
自治体の広報を担当する部署で、若年層へのリーチが課題として、YouTubeを活用した情報発信を2021年度からスタートしたが、思うように視聴回数が伸びなかった。その反省を踏まえ、2023年度からは、観光情報発信を中心にTikTok、インスタグラムを使ったショートムービー中心の発信に切り替えたことで、最初の投稿で昨年度の年間再生回数を超えるなど、対前年10倍近い視聴回数を獲得し、SNSマーケティングの基盤を構築できたと報告された。

(2)県内自動車ディーラーのケース
カーディーラーでは、若者世代への情報発信とリクルート情報発信を課題としていた。SNSマーケティングを取り入れ、インスタグラム&TikTokで発信を開始したところ、毎投稿で数万~数百万回の再生回数を記録するなど順調に進展、フォロワーも6万人を超え、全国系列ディーラー内でNo.1となっている。

SNSマーケティング会社の取り組み

熊本で、九州唯一のインフルエンサー事務所を立ち上げた会社による企業SNSアカウント運用の中身について解説があった。(上記2事例に関わったSNSマーケティング会社である) その会社の業務フローを下図に示す。

SNSマーケティング業務フロー
 

いわゆる通常のプロジェクトのPDCAと変わらないフローであるが、この会社のSNS運用の特徴は、自社所属のインフルエンサーのアカウントや取引企業組織アカウント運用のデータベースを保有し、それらのエンゲージメント率を見ながら、多様な分析を行っている点である。ヒアリングにより当該企業の狙う目標や特徴など把握した上で、データベースと照らし合わせて、投稿媒体の選定、トンマナの設計、投稿方法の検討など、きめ細かい組み立てを行った上で、動画のクリエイティブを考えていく。さらに同社は多くのインフルエンサーが日々自らの投稿を繰り返していることで、様々なターゲットが反応する旬のクリエイティブのパターンを把握している。その知見を企業アカウント運用に活用できることも大きな特徴となっているようだ。

SNSマーケティングの成功のポイント

(1)SNSメディアの捉え方

新旧メディア比較

上図に新旧メディアを示すが、旧来の4マスメディアに対して、インスタグラムやYouTubeなど新メディアを足し算のように捉えると、単に広告投下媒体がシフトするだけという捉え方になり、宣伝投下シフトだけが変わるだけである。しかし、実際はインスタグラムやYouTubeなどはプラットフォームであり、実際はその中で情報発信しているインフルエンサーや企業アカウントなど無数のメディアが誕生していると捉えると、様相は異なってくる。
小さいが個々のメディアとして、自らの番組(コンテンツ)を発信している無数のネットワークができていて、その中に企業として参画するという意識が求められると言える。

(2)企業のSNSメディアとの向き合い方

SNSとの向き合い方

従来型の向き合い方は、いわゆる広告主として、伝えたい情報を発信する媒体を選ぶというスタイルになるが、SNSマーケティングを企業活動に有効に活用するためには、自らが媒体主(これまでのTV局や番組)となる意識でお客様と向き合う必要がある。その際のお客様への意識は、「共感してもらう」「親しみを持ってもらう」「好きになってもらう」になるべきである。

ブランディング

ここまで見てくると、SNSマーケティングはブランディングとの親和性が非常に高いことに気付いてくる。短期の取引をうまく生かすための考え方をマーケティングとすると、ブランディングはその先の企業や商品サービスに対する長期的な愛用を作っていく活動と定義できると思う。企業アカウントで作り上げる関係性はまさにブランディング活動そのものと言えるかもしれない。

(3)SNSマーケティング成功の方程式(ABC)

SNSマーケティングのABC

昨今のSNSで、企業や組織の活用を大きく阻害しているコトバが、”BUZZバズる”であると思う。バスるには、超越した面白さやクリエイティブが必要で、それは予測できない偶発性に支配されていると考えてしまい、なかなか採用し難いと考える企業が多いのではないだろうか?
今回の事例からも分かるように、クリエイティブ先行ではなく、ターゲットが今、よく見ている動画やコンテンツの分析から、パターン(型)を発見し、それをしっかり踏まえた上で、クリエイティブを乗っけることで、確率高く、ターゲットに届くものが創れるのである。しっかり組み立てることで、炎上するなどのリスクを回避することも出来るのである。
Analyze(分析)し、Build-up(組み立て)し、その上でCreate(創造)する、このABCアプローチで、より確実性の高いSNSマーケティングは可能なのである。
SNSマーケティングも、通常の仕事と同じPDCAの考え方で実施運営できるという考え方こそポイントと言える。逆に、しっかりとした分析者、設計者が必要なのも、SNSマーケティングである。

”BUZZバズる”ではなく、”PUZZLEパズる”

地域のためのSNSマーケティング

SNSは個から世界へ通じる媒体メディアである。これまでは、情報が集積される都会がビジネスの中心となっていた。しかし、インターネット、SNSの登場により、地域でも、個人でも、世界を相手にするマーケティングが可能になったのである。その意味では、SNSマーケティングも世界を相手にするツールとして有効となるだろう。
ただ、それとは別に、地域経済圏で生きる企業やビジネスにおいても、SNSマーケティングは有効性を持つのではないだろうか? ターゲットとの共感や深いコミュケーションを作れるとしたら、”狭いが深い”新しい在り方が出来るのではと期待する。

今回のセミナーでは、地域の地域による地域のためのSNSマーケティングの可能性を強く感じることができた。

※熊本・九州のSNSマーケティングやインフルエンサーマーケティングに興味ある方は、Evolivにご相談ください。


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