我が町、白保の空
毎朝、海岸沿いを歩くのが日課だった。そこは、日本最南端に位置する先島諸島。その南部に位置する石垣島にある白保集落という場所。
私が足繁く通ってしばらく居を構えたところである。
朝は、水平線から昇る朝日を待ちながら生命の目覚めを観察する。夜は、漆黒の空に輝く無数の星々を眺め、南十字星を探しながら、浜辺に寝転がった。波の音がいつもBGMになっていた。
常夏という言葉に相違なく、太陽の光は年中強く、肌を小麦色に焦がすほどだった。
かくいう私も、毎日外を散歩していたら現地の人と間違われるほど肌が黒くなった。
島の天気は女心のように変わりやすい。天気予報をみてもほとんどあたらない。島の人は、雨雲レーダーを見て何時に雨が降るかを予測して動くのだ。そんな空の変化がはやい場所なので、見ていて飽きない。
毎日、空模様を見るのが楽しみでたまらなかった。
しかし、良いことばかりではなかった。とりわけ台風が島を通過する時などは、轟音が鳴り響き、窓が今にも割れそうなほどしなる。秒速数十メートルという風が吹き荒れているのだ。軽トラックなんかは、飛ばされて田んぼにはまっているなどは、よくある光景であった。
外に出られないから島民の人は台風に合わせて準備をする。スーパーからは食材が消え、ツタヤからは、DVDやブルーレイが棚から消えるのだ。皆、台風の日に何をして過ごそうか必死に考えているのかもしれない。いや、酒を飲んで陽気に三線弾きながら歌っているのかもしれない。
私は、友人宅に避難してアマゾンプライムの映画を友人達と談笑しながら見るというのが恒例だった。