投票日ですね・・・

今日は衆議院選の投票日ですね。期日前投票の場所は家から近いので、先週にすませてきました。

高野公彦さんの社会詠からいつも学んでいます。小気味よさと深さがあります。

原子力規制員会、実体は原発再稼働後押し団体

喫緊(きっきん)といふ語を好む議員群のトップの彼がめざす戦争

あかねさす日英同盟、日独伊三国同盟、戦争呼べり

この歌には「ある国と同盟を結ぶと、他の国と敵対関係になる」と詞書がある。


「棺を蓋(おほ)いて事定まる」といふは何 棺あらざりし無数の焼死者

「」内は故事成語。人間の真価は死んでから定まるという意。下句でそれが反転する。

たんぽぽの黄花は見るや地球史の最後の放射能の濃霧(こぎり)を

オキナワとヒロシマ、ナガサキ、フクシマが「日本人とは何か」を問へり

戦略的互恵関係といふ奇語ありて日本を囲む春濤

戦略的・・は「外交、経済、環境、エネルギーなどの分野で共通の利益を目指す二国関係」「奇語」が利いている。

稽古せぬ安倍さんがゐて日本国憲法、大窮状のこのごろ

「稽古」のもとの意味は「いにしえを考えること」「昔を調べ真理を探究すること」下句も九条とかけてある。

孤独死は哀しくあれど孤独死を遂げたる人の深きこころざし

自衛隊を軍に変へゆく男あり蝉ら地中に潜める五月

平和のため時に武力を用ゐると安倍氏は言へり便佞(べんねい)の人

「便佞」は口先は巧みだが心に誠実さのないこと。


戦争で餓死せし兵の多しといふ餓死は苦しゑ餓死は悲しゑ

太平洋戦争の兵士の七割が戦闘で亡くなったのでなく餓死。

ニヒタカヤマノボルベカラズ安倍あてに英霊たちは電文打たむ

国境を足で越えたることなくて〈国〉に住みをり戦争も知らず

やがて死ぬ学徒の言葉ましづかに一しづくづつわが胸に入る

『きけわだつみのこえ』を読んでの一首。

憲法に〈男女平等〉を盛り込みし乙女よベアテ・シロタ・ゴードン

ベアテシロタゴードンは日本国憲法24条の草案を執筆した女性。(家族生活における個人の尊厳と両性の平等)舞台芸術監督。


日韓についてのいい歌もあるのでそれもまた触れていきたいです。


歌はすべて『無縫の海』(2016)高野公彦より

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