『春の幾何学』武藤義哉第1歌集
鳥たちの小さな脚をあたためて春の舗道は木漏れ日のなか
やわらかな花野であれば傷ついたレコード一枚しずかにのせる
たんぽぽの綿毛の球を吹きくずし風の仕事をひとつ奪った
くるくると風力計はまわっても測りきれない風の淋しさ
風よりも遠くから来るものがある風車はいつもそう思ってる
○パステルカラーの絵を見ているような優しい読みやすい歌。1首目細やかな視線。風の歌3首、いくらでも作れそうな想像力がある。
ゴンドラに乗ったわれらは順々に空に紹介されて下り来る
渡り鳥渡らせたあと空はもう