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フェリーニ作品「道」のタイトルが意味しているものは?

アマゾンプライムでフェデリコ・フェリーニ監督の『道(La Strada)』を鑑賞しました。アマゾンプライムでは、フェリーニや小津安二郎といった巨匠の作品も視聴できるのが嬉しいですね。私は黒澤明や小津安二郎の作品は有料でも購入して手元に置いていますが、フェリーニ作品は未見でした。今回、意を決して鑑賞することにしました。

名作と呼ばれる映画は、細部まで集中して観たいですよね。体力があるときにじっくり鑑賞しないともったいないと感じています。これまで、名作を後回しにして気軽に観られる映画ばかり選んでいましたが、このまま観ずに人生を終えるのは惜しいと思い、今回はしっかりと鑑賞しました。

『道』はそのタイトルの通り、ロードムービーです。私はロードムービーが好きで、登場人物と一緒に旅をしているような感覚になります。旅行も大好きなので、イタリアの昔の風景を眺めながら、タイムトラベルしている気分になりました。

物語は、粗野な旅芸人ザンパノ(アンソニー・クイン)が、貧しい娘ジェルソミーナ(ジュリエッタ・マシーナ)を僅かな金で買い取り、二人で旅を続けるというものです。ジェルソミーナは純粋で感受性豊かな女性で、ザンパノの無骨さと対照的です。  

二人の関係は次第に複雑になり、綱渡り芸人イル・マット(リチャード・ベイスハート)との出会いが物語を大きく動かします。イル・マットはジェルソミーナに「この世のどんなものでも、役に立つ時がある」と語りかけ、彼女の心に深く響きます。  

映画の終盤、ザンパノは自らの行いと孤独に直面し、深い悲しみに包まれます。物理的な「道」と、人生の「道」を重ね合わせたタイトルには、深い意味が込められていると感じました。

鑑賞後、フェリーニ監督の妻であるジュリエッタ・マシーナがジェルソミーナを演じていることを知りました。彼女の演技が作品に深みを与えています。  

アマゾンプライムや他のストリーミングサービスのおかげで、名作映画に手軽にアクセスできる時代になりました。観たい映画が多すぎて、人生のうちにすべて観られるのかと心配になるほどです。しかし、そんなことを考えず、一つ一つの作品を楽しんでいこうと思います。

【映画情報】

フェデリコ・フェリーニ監督の映画『道』は、1954年に公開されたイタリア映画、彼の代表作のひとつされています。この作品は、旅芸人ザンパノと純粋で無垢な女性ジェルソミーナの悲劇的な物語を描いています。映画は第29回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞し、フェリーニ監督の国際的な名声を確立した重要な作品です。

あらすじ

物語は、貧しい家庭に生まれたジェルソミーナが、粗暴な大道芸人ザンパノに買われるところから始まります。ザンパノは鉄の鎖を引きちぎる力技を見せる大道芸人で、ジェルソミーナを助手として旅に連れ出します。しかし、ザンパノは暴力的で冷酷な性格を持ち、ジェルソミーナを虐げることが多です。それでも彼女はザンパノに対してどこか愛情を抱き続けます。

旅の途中で、ジェルソミーナは陽気な綱渡り芸人イル・マットと出会います。彼はジェルソミーナ「すべてのものには意味がある」と語り、彼女を励まします。しかし、ザンパノとイル・マットの間には深い確執があり、最終的にザンパノはイル・マットを殺してしまいます。この出来事をきっかけに、ジェルソミーナは精神的に壊れてしまい、ザンパノは彼女を見捨てて去ります。数年後、ザンパノはジェルソミーナの死を知り、孤独と後悔に苛まれることになります。

テーマと特徴

『道』は、人間の孤独、愛、そして存在の意味を深く探求した作品です。ジェルソミーナは純粋さと無垢の象徴であり、ザンパノは孤独と不器用さを抱えた人間の姿を体現しています。映画の中で語られる「石ころの話」は、どんな存在にも役割があるというテーマを象徴しています。

また、フェリーニ監督の妻であるジュリエッタ・マシーナが演じたジェルソミーナの表情や仕草は、観客に強い感情的な影響を与えます。彼女の演技は、無言の中に多くを語るもので、映画全体の感動を支えています。

評価と影響

『道』は公開当初から高い評価を受け、第29回アカデミー賞で外国語映画賞を受賞しました。この作品は、フェリーニ監督の国際的な名声を確立し、映画史においても重要な位置を占めています。また、音楽を担当したニーノ・ロータの主題曲も非常に美しく、映画の感動をさらに高めています。

この映画は、観る者に深い感動を与えるだけでなく、人間の本質について考えさせる作品として、今なお多くの人々に愛されています。

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