2025年共通テスト英語リーディング第7問【分析と勉強法】
1.全体の分析(どのような問題か)
第7問は、「動物の睡眠パターン」に関するアカデミックな文章を読み、その内容に基づいてプレゼンテーションスライドの空欄を埋める問題である。配点は16点、小問数は5問(問1~問5)で構成されている。文章の内容や設問形式には以下の特徴がある。
文章の特徴
内容:動物の睡眠パターン(monophasic, biphasic, polyphasic sleepなど)や睡眠に影響を与える条件(動物のサイズ、行動、捕食者からの安全性など)について説明している。加えて、「片半球睡眠」や「冬眠」のような特殊な睡眠形態についても解説している。
難易度:文章全体のレベルはB1プラスくらいで、アカデミックな語彙や表現が多用されている。ただし、専門用語には必ず説明がついており、英語をしっかり読めば理解可能な作りになっている。
構造:文章は非常に論理的に構成されており、段落ごとにトピックが提示され、その内容が具体例を交えながら展開されている。
設問の特徴
設問形式:
問1:本文の内容に基づき、スライドに不要な情報を除外する問題
問2:図表から適切な選択肢を選ぶ問題
問3:動物の睡眠パターンに影響を与える条件を選ぶ問題(2つ選択)
問4:「片半球睡眠」に関する正しい内容を選ぶ問題
問5:段落全体の内容に基づいて適切な見出しを選ぶ問題
難易度:設問は素直に本文の順序に従って作られており、スキャニングスキル(キーワードを探す能力)を活用すれば解答しやすい。全体的に「サービス問題」と呼ばれる取り組みやすい内容であり、得点源となる部分である。
時間配分の重要性
文章の長さ自体は標準的だが、本文の内容を正確に把握しつつ、各設問に対応する部分を効率的に見つける必要があるため、適切な時間配分が求められる。
2.それぞれの設問の分析(特徴・解くために必要なスキルなど)
問1:プレゼンテーションスライドの不要な情報を除外する問題
内容分析
「Importance of Sleep(睡眠の重要性)」というスライドの項目に対し、本文で説明されていない内容を選択する問題である。本文第1~2段落を基にし、正しく記載されていない情報を見つける。選択肢は以下の通り:
A. To alter body temperature(体温を変化させるため)
B. To maintain overall health(全体的な健康を維持するため)
C. To refresh the animal’s body(体をリフレッシュさせるため)
D. To reset the brain neurons(脳のニューロンをリセットするため)
本文には「体温を変化させる」という記述がないため、正解は「A」である。
解くためのポイント
段落の要点を素早く把握するスキル:第1~2段落を中心に、スライドの各項目が対応しているか確認する。
パラフレーズの理解:選択肢が本文の内容を言い換えているため、これに気付く必要がある。
問2:適切な図表を選ぶ問題
内容分析
「biphasic sleep」を示す図表を選ぶ問題である。本文では、biphasic sleepは「1回の長い睡眠と、もう1回短い睡眠をとる」と説明されており、これを図表で表現したものを選択する必要がある。選択肢では、正解が「④」となる(2つの睡眠時間が異なる長さで示されている)。
解くためのポイント
キーワードを基に該当箇所を探すスキャニングスキル:本文中の「biphasic sleep」という言葉を探し、その説明部分を正確に理解する。
視覚的情報の判断力:図表の特徴(睡眠時間の長短、回数)を素早く比較し、正しいものを選ぶ能力が必要。
問3:動物の睡眠パターンに影響を与える条件を選ぶ問題
内容分析
本文中で述べられた「動物の睡眠パターンに影響を与える条件」に基づき、正しい選択肢を2つ選ぶ問題である。選択肢の内容は以下の通り:
which burn up energy rapidly tend to sleep more often(エネルギーを素早く消費する動物は頻繁に眠る)
which continually search for food need longer sleep(食べ物を探し続ける動物はより長く眠る必要がある)
whose diet has fewer calories can sleep more easily(カロリーの少ない食事をする動物は簡単に眠れる)
whose food keeps their stomachs full usually sleep longer(満腹を維持できる動物は長く眠る傾向がある)
whose homes are difficult to get to typically sleep less(住処が到達しにくい動物は通常より眠らない)
正解は、「①」と「④」である。小型動物(例:リスやネズミ)はエネルギー消費が激しく、短時間頻繁に眠る。また、満腹感が得られる食事を取る動物は長く眠れる傾向があると記載されている。
解くためのポイント
本文の流れに沿った順序立てた読解:本文に沿って選択肢と対応する情報を見つける。
具体例を抽象化して選択肢に対応させる能力:例えば、「リスやネズミ」を「エネルギーを素早く消費する動物」として抽象化する力が必要。
問4:片半球睡眠に関する内容の選択問題
内容分析
片半球睡眠(unhemispheric sleep)について、適切な内容を選ぶ問題である。本文では、「一方の脳が眠り、もう一方が覚醒している状態」と説明されており、選択肢「①(can be partially asleep and partially awake)」が該当する。
解くためのポイント
キーワードを特定し、関連する内容を探すスキャニングスキル
パラフレーズを正確に理解する力:「partially asleep and partially awake」という表現が、本文中の記述と一致しているか確認する。
問5:見出し選択問題
内容分析
最後の段落では、「冬眠(Hibernation)」や「クラゲのリラクゼーション」といった睡眠に似た活動について説明されている。この内容に適した見出しを選ぶ問題であり、選択肢「④(States Similar to Sleep)」が正解である。本文中の「sleep-like activities」という表現に注目することで解答可能である。
解くためのポイント
段落全体の内容をまとめる能力
言い換え表現を認識するスキル:「sleep-like activities」が「States Similar to Sleep」に対応していることを理解する。
3.その大問で得点するために必要なスキルと勉強法
必要なスキル
キーワードを基に該当箇所を探すスキャニング能力
本文中の専門用語や特徴的なフレーズ(例:biphasic sleep, unhemispheric sleep)を迅速に見つける力が重要である。
パラフレーズを理解するスキル
本文の記述を異なる表現に置き換えた選択肢を正確に見抜くスキル。
図表や選択肢を効率的に比較する力
図表の選択肢を本文の記述に基づいて迅速に比較し、正しいものを選ぶ能力。
時間配分能力
長文読解問題の中で適切に時間を管理し、確実に最後までたどり着けるようにすることが重要である。
勉強法
アカデミックな文章への慣れ
教科書的な文章や科学的なテーマに基づく長文を読む練習を行う。B1~B2レベルの教材が適している。
スキャニング練習
特定のキーワードを探し、その周辺の情報を正確に読み取る練習をする。過去問や模試を活用する。
パラフレーズのトレーニング
本文の表現と選択肢の言い換えを意識的に学ぶ。類義語や言い換え表現に注意して解く練習が有効である。
図表問題の演習
図表を含む問題を繰り返し解くことで、視覚的な情報処理能力を高める。グラフや表を扱う英語の問題にも挑戦することを推奨する。
総評
第7問は、サービス問題として得点を狙いやすい構成になっている。ただし、文章が比較的長いため、時間配分が重要であり、効率的なスキャニングスキルやパラフレーズ理解が求められる。教科書的な構造に慣れることで、確実に得点できる問題となるだろう。