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2025年共通テスト英語リーディング第8問【分析と勉強法】

1.全体の分析

第8問は、アカデミックなエッセイ作成のプロセスを模した構成になっており、リーディング力だけでなく、論理的思考力や情報整理力を評価する内容となっている。試作問題B(試行調査)を基に作られた形式であり、試作問題への事前対応がスムーズな解答に繋がったと考えられる。以下に第8問の全体的な特徴を挙げる:

  1. 設問の構造

    • ステップ1~ステップ3の流れに沿って進む構成となっている。

      • ステップ1:「宇宙探査」について複数の立場や意見を読み取り、要点を把握する。

      • ステップ2:「自分の立場」を明確にし、それを支持する意見を選ぶ。

      • ステップ3:資料(Source A・B)を用いてエッセイのアウトラインを作成する。

    • 各ステップが明確に区切られており、指示通りに進めれば迷うことなく解答を導き出せる設計となっている。

  2. 学力レベルの想定

    • 語彙や文法は全体として、だいたいCEFR B1プラスレベルに相当し、共通テストの中ではやや高め。特に後半(ステップ3)では、データの読解やパラフレーズに対応する力が求められる。

    • 「速読力」と「論理的な情報処理力」を組み合わせる必要があり、一定の訓練が必要な問題構成。

  3. 設問のポイント

    • 問1・問2:短文の読解を基にした設問。対比・共通点を見つける能力が求められる。

    • 問3:意見を整理し、立場に基づいた選択を行う問題。複数の段階を経て正答を導く必要があるため、情報整理能力が問われる。

    • 問4・問5:Source A/Bの資料読解問題。Source Bではグラフを利用した分析が求められる。


2.それぞれの設問の詳細分析

問1:Meilinの意見に基づく内容の特定

  • 設問内容:Meilinの発言の主旨を最もよく表している選択肢を選ぶ。

  • 背景:Meilinの意見は、Stephen Hawkingの言葉を引用しつつ、宇宙探査が「攻撃的な宇宙人による地球発見」というリスクを伴うと述べている。彼女の立場は明確に「宇宙探査反対」であり、「慎重さが必要」とする主張が問われている。

  • 正解:「Caution is critical」

  • 分析ポイント

    • 「The deeper into space we travel, the greater the likelihood Earth will be discovered by an aggressive alien civilization」という発言に着目。

    • 選択肢の「Caution(慎重さ)」が発言内容を的確に要約している。

    • 「Caution」「Critical」という語彙がCEFR B1+レベルであり、語彙力が解答に影響する可能性が高い。

  • 解答のコツ

    • 発言者の立場(賛成・反対)を整理しておくこと。

    • 難解な語彙(Cautionなど)に惑わされず、文脈から推測する力が重要。


問2:ChristineとVictorの共通意見の選定

  • 設問内容:ChristineとVictorの発言内容を比較し、共通点を選ぶ。

  • 背景

    • Christine:国際協力や民間企業による宇宙探査の発展を支持。特に経済的影響について述べている。

    • Victor:宇宙探査が経済成長に寄与していると述べるとともに、民間企業の参入にも触れている。

  • 正解:「has economic impacts and provides opportunities for private corporations to make money」

  • 分析ポイント

    • 両者の意見は「経済」に関連しており、これを見つけることが鍵となる。

    • パラフレーズの多用(例えば「economic impacts」→「provides opportunities」)に注意する必要がある。

  • 解答のコツ

    • 比較対象となる意見を素早く把握し、共通する内容をピックアップするスキルが重要。

    • 同義表現に慣れるため、普段からパラフレーズ問題に取り組むことが推奨される。


問3:反対意見の選定と共通主張の確認

  • 設問内容:宇宙探査に反対する人物を2名選び、その共通意見を特定する。

  • 背景

    • MeilinとNaomiは宇宙探査に反対の立場を取る。

      • Meilin:「宇宙探査は地球を危険にさらす可能性がある」と懸念。

      • Naomi:「宇宙探査は危険が大きい産業であり、他の産業なら許されないリスク」と指摘。

  • 正解:「space exploration exposes people to a lot of danger and is too risky」

  • 分析ポイント

    • 両者の意見は「リスクの高さ」に集中しており、これを共通点として特定する必要がある。

    • Meilinの「aggressive alien civilization」やNaomiの「high level of danger」といった具体例に注意。

  • 解答のコツ

    • 発言者ごとに立場(賛成・反対・中立)を整理するメモを取る。

    • 各意見の具体例を参考に、選択肢を選ぶ。


問4:Source Aに基づく環境問題の分析

  • 設問内容:Source Aを基に、宇宙探査が環境に与える影響を特定する。

  • 背景:Source AはCO₂排出やスペースデブリなど、宇宙探査が地球環境に与える悪影響を説明している。

  • 正解:「Space exploration is polluting the environment of both the Earth and the thermosphere」

  • 分析ポイント

    • CO₂排出やスペースデブリ(宇宙ゴミ)に関する情報を正確に把握する必要がある。

    • 「thermosphere」という語彙がやや難解であるが、文脈で「地球の大気の一部」と理解できれば問題ない。

  • 解答のコツ

    • 資料中の具体例を選択肢と照合するスキルが求められる。

    • 科学的な語彙や概念に関する基礎知識を身に付ける。


問5:Source Bに基づく費用対効果の議論

  • 設問内容:Source Bを基に、宇宙探査の費用対効果に関する主張を選ぶ。

  • 背景

    • Source Bでは、宇宙探査に年間1030億ドルが投じられている一方、清潔な水の供給(150億ドル)や基礎教育の提供(54億ドル)の方が少ない費用で実現可能であると示されている。

  • 正解:「With the money currently invested in space exploration, we could provide sufficient food, basic education, and enough clean water in developing countries」

  • 分析ポイント

    • グラフの数値と選択肢の記述を対応させる作業が必要。

    • 宇宙探査に対するコスト批判が焦点であることを押さえる。

  • 解答のコツ

    • グラフを正確に読み取り、金額や比較データを把握する。

    • 時間内に計算や比較を行うため、普段からグラフ問題に慣れておく。


3.得点するために必要なスキルと勉強法

必要なスキル

  1. 情報整理力:意見や資料を素早く整理し、必要な箇所を的確に見つける能力。

  2. 速読力:文章量が多いため、必要な情報を迅速にピックアップする力が必要。

  3. 語彙力:アカデミックな単語や科学的な概念(e.g., Caution, Thermosphere)に対応する力。

  4. グラフ読解力:資料やグラフを正確に読み取り、情報を比較するスキル。

推奨される勉強法

  1. パラフレーズの練習:同義表現に慣れるため、英文の言い換え問題を繰り返し解く。

  2. アカデミック英文読解:科学や社会問題をテーマにした英文を日常的に読む。

  3. 資料問題への慣れ:グラフや統計を含む英文読解に取り組み、効率的に情報を読み取る訓練をする。

  4. 速読力強化:時間制限内で情報を処理する力を鍛えるため、タイマーを使った練習を行う。


結論

第8問は、論理的で整理された構造を持つ一方で、資料読解力や語彙力、速読力が必要とされる高度な問題である。ステップごとに分かれた明確な形式を活かし、効率的に情報を処理する訓練を積むことで、高得点が狙える内容である。

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