春の情景
三月初めの新聞に安野光雅氏の淡い水彩のタンポポの絵が掲載されました。
彼の子供の頃、タンポポを束ねて新聞紙にくるみ、塩ずけにしたそうです。食べるためでなく、その茎に息を吹きかけ、きゅうきゅうと鳴らす女の子の遊びだったとか、昔はこうして、野の草が遊び道具になりました。
カヤツリ草の茎の四隅を引くと、蚊帳のようになったり(蚊帳って知らないですね)、松葉を交差させて、ひっぱたりあったり、葉っぱをまるめて笛にしたりしたもんです。
タンポポという言葉のひびきが、とても優しく、あの黄色が春にぴったりです。
漢名は蒲公英といい、漢方薬につかわれます。
咲き終わると種をつけたまるい綿毛をつけ、春風にのって、ふわふわと飛んでゆきます。この情景はなんとも言えずメルヘンチックです。
道路のアスファルトの割れ目に頑張って咲いているタンポポを見ると愛おしくなります。
ほしとたんぽぽ 金子みすゞ散って すがれた たんぽぽの
かわらのすきに だあまって
はるのくるまで かくれてる
つよい その ねは めに みえぬ
みえぬ けれども あるんだよ
みえぬ ものでも あるんだよ
三月山手線E235の最後尾のイラストはタンポポです。