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旅するように住む

「住むように旅する」という生き方に、ずっと憧れてきた。

今でももちろん、憧れている。
SNSで「世界一周」とか、「バックパッカー」とか、そんな非日常で自由な空気をまとった単語が目に飛び込むたびに、「ああ、いいなあ!いつかわたしも」と思いながら、息を飲むような絶景や、おしゃれなカフェの写真を延々と眺めている。

旅をしているときは、なんだか時間の流れ方が違うように感じる。

いろんなところに行って、いろんな人と出逢い、いろんなことを学び...

同じ1日なのに、まるで2、3日生きたような、充実感を感じることもある。

だけど、晴れた日の土曜日、倉敷・児島の海岸線を車で走っていて、少し違う考え方が浮かんできた。

「住むように旅する」のと同じくらい「旅するように住む」のも素敵なんじゃないか

瀬戸内かわいい部が昨年8月25日に始まって、この1年間、わたしはたくさんの素敵な場所を、28年間住み続けた岡山・瀬戸内にみつけることができた。

「観光客がすることだ」と、無意識に自分とは関係ないと思い込んでいたことを、いろいろやってみることにした。

そうすると、住んでいた時には見えなかった岡山の姿が、瀬戸内の姿が、見えてきた。

岡山市内に住んでいるのに、車で20分で行けるお隣の倉敷市のゲストハウスにわざわざ泊まってみたりした。

いつも見るだけだった倉敷美観地区の人力車に、乗ってみたりした。

「地元だし・・・」、とスマホのカメラで写真を撮っていたところを、わざわざ一眼レフを首にさげ、大きなリュックにスケッチブックと色鉛筆まで詰めて、話題のスポットに訪れてみたりした。

よく、お店の人に「どこからいらっしゃったんですか?」とにこにこ笑顔で尋ねられ、「....岡山です、地元です」と苦笑いしたのも、良い思い出。

旅するように、瀬戸内に住んでみて、観光に来てくれる人たちにとって瀬戸内はこんな風に映っているのかなあと、すごく新鮮な気持ちがした。

なんだか、27年間岡山に住み、1年間岡山を旅していたような感覚だ。


住む場所は同じ。

それでも、旅をしている時のような、わくわくする感覚や、新鮮な発見を、味わうことはできることがわかった。

いろんなところに足を運んでみると、ずっと住んでいると言っても、実際に行ったことがあった場所は、案外少なかったことがわかった。

それに、街は変わっていく。五年前に行った場所が、大きくその姿を変えていた、なんてことも少なくなかった。

幼い頃、親が連れて行ってくれた時には気付けなかったその場所の良さに、今だから気付けた瞬間もあった。


振り返ってみて、

同じ場所に住んでいるのに、「旅」を意識するだけで、どうして、こんなに見える世界が違うんだろう、と、不思議に思った。

どうして、こんなに、街が、人が、道路に落ちる木漏れ日や影さえも、きらきら、輝いて見えるんだろう。こんなに美しいものばかりが、目に入るのだろう。

この景色を忘れたくないと、無心でシャッターを切り、かけがえのない瞬間なような気がして、心に浮かんだ言葉を必死にメモに残すのだろう、

ずっと住んでいる町なのに。

そして、思った。

旅人は、旅には終わりがあることを、知っているからではないかと。

旅は、永遠には、続かない。

数日の場合もあれば、何年も旅することもあるだろう。

でも、やっぱり、「旅の終わり」は意識すると思う。

住んでいると、どうしても、「住む」の終わりを意識することを忘れてしまう。

旅と同じで、「住む」だって、永遠に続くわけじゃないのに。

「旅するように住む」生き方は、毎日の暮らしを、愛おしむように、大切にできる、生き方なのかもしれないと、思った。

この秋、私たちの瀬戸内に、新しいホステルができる。

DENIM HOSTEL float。

EVERY DENIMというジーンズブランドを営む、20代の二人の兄弟と、その仲間の人たちが、クラウドファンディングで全国から支援を募り、たくさんの人が関わりながら、想いをともにしながら、瀬戸内に新たな文化の交流地が生まれようとしている。

住む町に、また旅できる場所ができるのがうれしい。

地元に住んでいるからこそ、泊まりで訪れようと思う。

次は、どんな瀬戸内に出会えるかな。

#EVERYDENIM #瀬戸内 #児島 #瀬戸内かわいい部 #せとかわ


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やすか
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