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あの日のこと②

 こんなにも勝って欲しいと願った試合は、初めてだった。
自分が途中で出れなくなって迷惑かけたのもあるし、あの時のメンバーはなかなか出場機会がなくても常に自分と向き合って練習してきたメンバーだったから勝ちたかったし、最後まで一緒に戦いたかった。

 ロッカーに引き上げてからは痛くて寝転んだままの状態。どんな展開かめっちゃ気になったけどスタッフに『いまどんなかんじ?』って聞くことしか出来んかった。歓声が聞こえるたびに聞いてたと思う。残りも少ないって聞いてたから点取られたって聞いたときは、なんとも言えんかった。それでも祈るしか出来ひんし、絶対大丈夫って思ってた。最後のPK戦だけは見れたけどほんまに悔しかった。

 試合後、みんなに足の状態を聞かれて、『強い打撲っすね』って現実1割願望9割で答えてた。
まじで打撲であってくれって思ってた。こんなにも受け止めれてなかったんやっていま思う。

 病院に行って、CT撮ったら


 「右脛骨骨幹部骨折」


それ聞いたときはさっきまでの願望で保ってた自分の心が一気にどっかに行った。ついて来てくれてた妻に伝えるときは声が出んかった。家に帰る車でもあの瞬間のことを考えると涙。お腹すかせて帰りを待ってる愛犬をみても涙。とにかく泣いた。

 さっきまでのいつも通りの生活は、ほんまに幸せなことやったんやな。改めて感じた。

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