きぬかけの路には美術館も
龍安寺を後にし、きぬかけの路を北へと小さな自転車
を走らせる。路の途中では、傾きつつある太陽の光に
染まる白亜の建物が、圧倒的な存在感で迫ってくる。
1966年に開館し、2018年にリニューアルオープン
した堂本印象美術館。大正から昭和にかけて京都で
活躍した日本画家の堂本印象により、外観から内装
までのすべてが自らによってデザインされたという。
日本画の域を超え彫刻、陶芸、ガラス、金工、染色
なども手がけた、マルチアーティスト・堂本印象の
集大成として、75歳の時に建てられた美術館。画家
になる前には、西陣織の図案描きの仕事をしていた
経験は、構図や色彩感覚に影響を与えているという。
その圧倒的なデザインをつかの間であるが楽しんだ。
公式サイトで作品も。坂という作品に配置の妙を感じ
日本画から抽象絵画への変化に驚きつつ
作品には様々な価値観や経験が凝縮される
1950年頃から抽象美術へと移り変わる様子も
1952年、61歳の時にパリを中心にヨーロッパを半年間
周り、現代美術に触れ、1950年代にフランスを中心に
興隆した抽象絵画の美術運動でもあるアンフォルメル
にも共鳴し、抽象表現へと作風が一変したともいう。
グッドデザイン賞も受賞している
今度訪れる時は、しっかりと時間をとり建物、展示の
すべてを味わおう。そして堂本印象によるデザインは
カトリック玉造教会の壁画にも。旅のかけらをたどり
笹屋守栄の作品にちなんだ羊羹も。デザインを五感で
そして、西芳寺の襖絵も手掛けられている
次は予約をしっかりとって。冬の参拝に狙いを定めて
動画で堂本印象の挑戦し続けた人生にふれる
日本画から抽象画へ作風を大きく転換させて、新しい
表現を取り入れる挑戦していく姿勢に感銘を受けた。
そしてその経験は、凝縮されて美術館、その装飾の全て
という形で表現される。余白をあますところなく埋め
尽くすような建物の外観に、堂本印象の思いのすべて
が込められている。それは異なる部分が重なりあって、
建物全体として芸術家のすべてを表す作品に。ほんの
ひとときの刺激的な体験。次はゆっくり時間をとって。