感性によびかける建物や空間
新しい建物は個性的なものもあるが、スマートで洗練
されていて、その時代の空気を映していると感じる。
能登島ガラス美術館を設計した建築家の毛綱毅曠氏
は、形而上の概念を建築にあてはめることに意欲を
燃やしたという。合理的で機能的な建築に意を反する
ポストモダンの時代、毛綱毅曠氏の建築は異彩を放つ。
そして同時代の建築家の六角鬼丈氏が設計し、1980年
に建てられた宗教施設も、感性によびかける建築だ。
六角鬼丈氏の設計といえば宮城県の感覚ミュージアム
が思い出に残っている。以前に東北をぐるりと巡った
旅行で立ち寄った。2000年に開館のこの建物の目的は
感覚体験を通し感性を磨き、想像力を高め、心の豊かさ
を取り戻すというもの。展示は楽しく刺激的であった。
幼かった子供たちがはしゃぐ様子を今も覚えている。
見る・聞く・触れる・嗅ぐという感性を刺激する所。
時代の中で生み出された建築。今の時代に同じものが
作られることはないかもしれない。建物や空間全体が、
あたたかな温度とともに感性によびかけてくる。時代
は移り変わっても、その空間は輝きを放つと感じる。
大分県の国東半島にある不均質な自然と人の美術館。
現代の感覚ミュージアムだ。太陽と月の部屋が感動的。
どの時代の建物も、その時代を背景に、いろんな建築家
が想いを込めてつくった結晶である。そして今もまだ
使い続けられ、建築として空間して愛され続けている。
そのような建築に出会いに、少しずつ旅を続けよう。