佐賀の空いっぱいに広がるものといえば
ガーデンテラス佐賀を後にして西へ進む。街から遠ざり、
空はどんどんと広くなり、気持ちよい。と言いたいところ
だが雲行きが怪しい。今にも降りそうな雨を気にしながら
もとにかく進む。目の前には河川敷の堤防が見えてきた。
堤防を上ると河原の風景がずっと向こうまで続いている。
ここが佐賀インターナショナルバルーンフェスタの会場
である。バルーンフェスタは2020年は中止、2021年は
無観客開催であったが、今年は有観客での開催を11月初旬
に予定されている。この空に広がる気球に思いを馳せる。
HERE WE ARE. さがデザインでは佐賀の魅力ある場所
が紹介されている。佐賀の美しい情景を、国内外の人に
メールで送ることもできる。佐賀県は魅力に溢れている。
TVドラマのソロ活女子のススメで、気球が取り上げられ
ていてアマゾンで一気に見てしまった。主人公の早乙女恵
の語り口、ときおり流れるBGM、ウィットに富んだ会話が
面白い。ひとりで好きな場所に行き、ひとりで好きなこと
をして、ひとりの時間を楽しむ。というナレーションに、
すごく共感できる。とても贅沢な時間がある。そして今年
にはシーズン2。アマゾンで見られる日が待ち遠しい。
さて、気球のいない河川敷を後にする。案の定、小雨が
降ってきたが雨宿りするほどでもなく、どんどんと進む。
しばらくすると、雰囲気のよい街並みが見えてきた。この
辺りは都市景観重要建築物に指定されている建物がある。
山下邸は、道祖元町の角地に南を正面として建つ、明治
初期の建築と伝えられる町家建築。白壁に開けられた庇の
ついた小窓の形や、壁の色の切り替え部分がおもしろい。
竹下邸は、深川汽船会社を興した深川嘉一郎によって、
明治中期に建築されたと考えられる町家建築で、1941年
に竹下家の所有となっている。道路をはさんで向かい
合わせとなって、昔ながらの重厚な街並みを作っている。
その街並みの中にクリニックが建っている。さやのもと
クリニックは認知症を主とした心療内科の診療所である。
昔ながらの街並みに残るレンガタイルの門塀をいかし、
デザインに取り込んでいる。待合いスペースの本棚には、
医療従事者と患者、その家族を結ぶキッカケとなるように
書籍が並べられている。奥に広がる中庭と、そこに面した
ガラス張り待合室は、きっと気持ちのよい空間だと思う。
竹下邸は、手打ちそばニ八として営業されていた。
そろそろお昼の時間。すい込まれるように門をくぐる。
玄関にはミロの絵が掛けられ、内部は民芸感あふれる
落ち着いた雰囲気。家具や陶器、絵画の感じもよくて、
テーブルの重厚感は、なでたくなるほどの質感である。
ざるそばを味わいながら、この穏やかな空間も楽しんだ。
おなかも心も満たされて、ほっと一息。さて今度は佐賀
市街へ向けて東へ。次の目的地を目指して出発しよう。