パサージュという名のアパートに広がる空間
PASSAGE-F パサージュエフ 2017
福岡市中央区大宮に1階テナント、2、3階が
集合住宅の建物がある。フランス人デザイナー
の手により、築26年の2棟のアパートを一体
でリノベーションされている。床の格子状の
パターンや、腰壁や壁の装飾のアンティーク感
により異国情緒が漂う。やわらかな光が差し
込む通路部分の先には、観葉植物がおかれて、
外の樹木と共に、緑ある空間が作られている。
パサージュという名前に、遠い昔に訪れたパリ
のパサージュのある空間を懐かしく思い出した。
1階の一番奥にブーランジェリーパティスリー
エイジという、とても雰囲気のよいパン屋さん
が入っている。ピスタチオクリームパンで有名
になったとのこと。ピスタチオに目がないので
また今度訪れてみよう。先日の夕方には、ほぼ
売り切れだったので、次は焼き立てを目指そう。
船場ビルディング 1925
こちらは大阪にある船場ビルディングである。
今なお、1925年当時の雰囲気を保ちながら、
テナントビルとして使い続けられているのが、
奇跡的であると感じる。国の登録有形文化財
への指定が、功を奏しているのかもしれない。
若かりし頃は、大阪の阿波座に住んでいて、
暇あれば、自転車で大阪の街を見てまわった。
船場ビルディングに、一歩足を踏み入れた時
の感動を思い出す。外観からは思い描けない
内部に広がっているパサージュのような空間。
こんな所で働けたら楽しいだろうなと思う。
真あたらしく光輝く空間もよいが、古く時間を
重ねられた空間には、重ねられた時間の空気感
が存在している。そんな空間をつくり、また
それが、愛され使い続けられることになれば
どんなに幸福なことだろうかと感じている。