唐津焼の魅力を味わう旅
さて櫨丿谷窯をあとにし、もう一箇所の窯元を目指す。
今回は唐津の自然と唐津焼の魅力を味わう旅。また山
を越えながらの移動である。旅も終盤で、だんだんと
疲れもたまってくる。通り沿いに外観が特徴の喫茶店
が見えてきた。少しばかり休憩してコーヒーを頂こう。
ほどなく窯元に到着。訪れたのは隆太窯である。昨年の
唐津の旅の最後にカフェルーナで、唐津焼のぐい呑み
で日本酒を頂いた。その際に教えて頂いたのが隆太窯
隆太窯を開いたのは、唐津焼の名門、中里太郎右衛門
十二代の五男として唐津に生まれた中里隆さん。現在、
息子の太亀さん、孫の健太さん3代で作陶されている。
福岡のフレンチの「La Maison de la Nature Goh」の
福山剛シェフの料理に合わせ、作られた中里健太さん
のオリジナルの器。博多にあるので、いつか訪れたい。
唐津にはいくつも窯元がある。次はどこを訪れようか。
偶然にも健太さんが作業する様子を見せて頂くことが
できた。輪花皿が次々に出来上がっていく。リズムカル
にお皿の端がつままれて、ろくろが回るとともに花の
ような形となる。作業する所作も無駄がなく心地よい。
幸いに、ものづくりの場に立ち会えることができた。
何もないところから、徐々に形ができあがっていく。
改めて、ものがつくられていく様子に感動を覚えた。
ひとつひとつの作業が丁寧で、心が込められている。
素材としっかりと向き合い、形を生み出す。その思い
の深さが、価値のあるものを生み出してくと感じる。
川のせせらぎ、野鳥のさえずり、野山に囲まれた風景。
唐津の自然を感じ、唐津焼の魅力を味わう旅となった。
窯元で出会った光景を、心の中に留めておこうと思う。