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京都の街に散りばめられた素材をたどる

新風館を後にする。そこには銅板の庇、細いルーバー、
金網のスクリーン、木組みの架構。建物を包み込む素材
は異なるものでありながらも、調和を生み出している。


小さな自転車で街をゆっくりと進む。京都の街には、
車輪の小さく、小回りの利く自転車がちょうどよい。
街に散らばる素材に目を止めては、自転車を降りて
眺めたり、もっと近づいてみる。京都には古くから
残る日本家屋もあれば、新しい素材も点在している。

新風館の隣には2021年にオープンしたDIESEL京都 
グレーにつつまれた外観はモルタルの薄灰色や
スチールやアルミの金属パネルに覆われている
烏丸通に面した新風館の時を経たタイルの風合い
アーチの下にはヘリンボーン貼りに三つ目市松貼り
烏丸通の向こうビルの連続するガラス
ガラスと庇の連なりは木格子へとつながって
京都のモチーフが散りばめられたNHK新京都放送会館
軒下の通路空間には木格子が先へと続く
街角に連続するガラスと木格子
向かいの建物には黒漆喰、フラットバーに金箔、版築塀
積層された土壁に光が吸い込まれていく
アプローチ。街の一角に静謐な空間が現れる
質感のある素材にシンプルなサイン
経年により退色していく黒漆喰
版築塀の色の積層が美しく
色彩と素材がやわらかく連続する建物は
自前の専門の職人たちにより作り上げられたという
通路には大理石の研ぎ出し。さまざま素材と仕上げが
版築塀の連なりにように組み合わされた
京都・西陣織老舗の細尾の本社ビル

工芸の視点から生み出された建築

代表の細尾真孝氏は、西陣織の未来を切り拓いている

150cm幅の西陣織の布が世界へとつながって

縦と横の調和によって生まれる織物。その調和の先へ

古都・京都において1200年前より受け継がれてきた
西陣織。そしては元禄元年(1688年)京都・西陣に
おいて創業した「細尾」。そこでは伝統のある西陣織を
新しいデザイン、様々な分野との協業、分業による生産
により新しい価値を取り入れ、世界へ発信されている。

西陣織を様々な分野へ。スピーカーにも

ライカのボディも彩って

そのテキスタイルはインテリアを艶やかにする

そして外装へと。限りなく広がる西陣織の世界


着物に使われていた素材は、様々な協業が図られて、
エレクトロニクス、プロダクト、インテリアそして
建築へと展開されていく。伝統はつむがれて、革新
されて融合し、また新しい時代が切り開かれていく。
京都の街には伝統と革新に満ちた空気が流れている。


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