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建物をたどって始める奈良の旅

今度の旅の目的地は奈良。刻まれた時間を楽しみに


奈良駅のすぐ側のホテルの先に建つ黒いシルエット。
なら100年会館は、奈良市が市制施行100周年を記念
して建設した建物で、礒崎新が手掛けたもの。九州に
単身赴任に行く前には大阪に住んでいたので、奈良に
も何度か訪れたが、JR奈良駅の西側は初めてのこと。
まずは予想以上のボリュームで存在している建物へ。

JR奈良駅から続くペデストリアンデッキの先の
ボリュームとしての存在感のある建物へ
大きく湾曲する壁面にそっと並べられた窓を見上げ
外壁の瓦を模したタイルは還元焼成という製法で
むらのある深い色合いの壁面を作り出す
外観を楽しみつつも、まずはエントランスから内部へ
光に包まれる空間には、影がおどるように壁面や
床面に屋根を支える部材の形を落とし込む。そして奈良では
せんとくんに出迎えられて

以前に籔内佐斗司氏の作品にもふれた

カウンターの上には少し雰囲気の異なるせんとくんも
その大きな空間は奥へと続き
外部から続く壁面によって構成されている
ガラス面はその壁面の形を強調させ、内部に光をとりこんで
入口付近に並べられた椅子にも目を留めて
エキスパンドメタルの背もたれにも光は反射して
チェアの上には磯崎新のエスキス
椅子のデザインは倉俣史朗。巨匠の作品が並ぶ風景に

倉俣史朗の展覧会は、次は京都へ

並べられた椅子。交じりあう巨匠のデザインを楽しみつつ
空間に光を導きいれる大きなガラス屋根や
エントランスの上部のガラスの壁面を見上げつつ
なら100年会館の内部空間を後にする
次はゆるやかに湾曲する外壁面に沿って
建物各部の納まりや構成を楽しみながら
ぐるりと周囲をめぐる。ゆるやかな曲線を描く建物に

規模は違えど、以前に訪れた美術館を思い出す

建物のコンセプトは「奈良の文化を育て、
世界に発信するまさに“文化の船”」
磯崎新のイメージが、壮大なスケールで具現化された建物を
端から端まで歩いて体全体で感じてみる
訪れたのは3月の中旬で、光りを通す落葉樹が
ガラスに映り込む風景も楽しんで
いつものように建物に寄ってみたり
引いてみたり。角度を変えればは建物の外観も様々で
ゆるやかに連続していく形に沿って進む

磯崎新のゆるやかに曲線を描く建物は北九州にも

建物をぐるりとめぐり、またエントランスへ
建物の構成やデザインに名残り惜しみつつ
なら100年会館を後にして

宮沢洋氏の楽しい建築紹介も少しだけ

偉大な建築家にときおり思いをはせてみる


船のような建物は、その中に様々な出来事を内包する。
外部から内部へと連続する壁やボリュームによって、
建物の構成は明確となる。外部の閉じられた雰囲気に
対して、内部は天井いっぱいのガラス屋根により、光
に満ちあふれる。空間を包む光と落ちる影。内部に足
を踏み入れると、日常とは異なる空間が広がっている。
磯崎新が手掛け、今も残されている空間を楽しもう。


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