めぐる回廊、曲線の構成、そして打ち放しのコンクリート
建物のまわりをめぐる回廊、直線デザインはもちろん
のこと、曲線で構成される様々な形。そして端正かつ
均整のとれたコンクリートの打ち放しといえば、一人
の建築家が思い浮かぶ。このベルナティオにある森と
水辺の教室ポポラは、建築家の安藤忠雄氏の設計だ。
小雨の中、水辺のホールには時間をみて一人で訪れた。
森のホールから少し離れた所にあり、貸会議場なので、
使われていない時はひっそりとしている。森のホール
と統一感のあるデザインで、敷地に沿うように建つ。
足早に建物のまわりをめぐり、その空間に身を委ねる。
安藤忠雄氏が設計した建物には、どこか静謐さが漂う。
整然とした打ち放しのコンクリートの仕上げ、要素が
削ぎ落とされ洗練された空間の質、エッジの利いた壁、
薄灰色のコンクリートが纏う光と影。そこでは簡素さ
と複雑さが混在した特別な空間を体感できる。そこで
感覚が研ぎ澄まされ、空間の厚みや質の違いを感じる。
今までに、幾度と訪れた安藤忠雄氏が設計した建物。
コンクリートの打ち放しは、目に見える要素を単一に
する仕掛けでもある。仕上げの種類から解き放たれた
ことで建物の内と外をめぐる動線、空間を認識させる
光と影、計算しつくされた建物の形状が際立ってくる。
旅先で出会う安藤忠雄氏の建物。ほんのひとときだか、
豊かな空間を楽しんでいる。今住んでいる九州にある
安藤忠雄氏の建物といえば、熊本県立装飾古墳館。
昨年に訪れた玉名から自転車で一時間少々の距離だ。
九州をめぐる旅の途中、安藤忠雄氏の建築も楽しもう。
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