限られた空間の中に凝らされた工夫
御菓子處 五島 柿沼守利 2002
福岡の赤坂にある和菓子店である。
黒い外壁は、風景に落ち着いた印象を与え、
芽生えを待つ木々を穏やかに包み込んでいる。
建物は緑に寄り添うように設計されていて、
樹木は、庇の開口部から空へと枝を伸ばす。
入口のデザインされた格子の建具は、
シンプルな外観のアクセントとなる。
外壁と同じ素材でつくられた水盤、
階段や手すりの納まりはシンプルに
つくられていて余計な主張はしない。
それらすべてが醸し出す空気感がよい。
ひとつひとつ丁寧に造られることにより
抑制された心地よい雰囲気が漂っている。
限られた空間の中に凝らされた工夫がある。
小さくても存在感のある和菓子店である。