奥唐津にたたずむ窯元を目指して
蕨野の棚田の太平展望所から風景は圧巻だった。棚田
の先にふもとの集落が見え、山並みが遠く続いていく。
棚田は風景に添うように広がり、自然と一体となる。
ここまで来たなら山を越えて、唐津の奥を目指そう。
4月初旬、八女中央大茶園に訪れたときのこと。自転車
NAVITIMEが指す道はだんだんと細くなり、けもの道
となって途切れていた。ふと、あの日ことを思い出す。
唐津のHOTEL KARAEでは櫨丿谷窯を楽しむプランも
ある。茶道を体験し、唐津焼にふれ、カフェでくつろぐ。
唐津の山間にひっそりと佇む櫨ノ谷窯。山道を越えて
きた。cafe Reedで爽やかな甘夏サイダーを頂き、旅の
疲れを癒やした。ギャラリーには落ち着いた色合いの
唐津焼の作品が並ぶ。 櫨ノ谷窯の窯主・吉野敬子さん
は2代目で、砂岩が原料の古唐津を追求されている。
豊かな自然の風景の中、陶器に向き合う生活がある。
四季の移り変わり、自然が作り出す色合いに囲まれた
中で陶器が生み出されている。作品は自然と共にある。
自然の音を聞き、自然の色を感じ、形づくられていく。
どこまで対象に近づくことができるか。そのまなざし
を感じる。真摯にものづくりに向き合う生活がある。
唐津の奥の山間にある櫨丿谷窯。自然の中、自然と共に
作られる陶器。今回もよい作品と出会うことができた。