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鍵は、どれだけ自分を知っているかにある
いろんなことをよく知っていて、なんでもできる。おまけに容姿端麗で、生き方までカッコいい。そんなパーフェクトと言えるような人が、たまにいたりする。
でも、それは見ている側の判断であって、実は知らないところで凄まじい努力をしているのかもしれない。実際そうだろう。自分を高める努力の仕方を知っているんだと思う。
多くの人は、できることやある部分での強みがある一方、苦手なことや弱点を同時に持ち合わせている。自分にはあれが足りない。そんな思いを抱えながら、人と比べては悩み、落ち込んだりしている。
冒頭のパーフェクトさんも、たぶんその一人だ。
同じように弱点を持ちながら、なぜ違うのか。どうして落ち込みから抜け出せたのか。その鍵は、どれだけ自分を知っているかにあると、ボクは思っている。
病気の診断。問診に始まり、検査や触診など四方八方から病巣を探り、原因を突き止める。そして治療法を決め、薬を処方する。経過を見ながら、さらにそれらを見直し、必要があれば変えていく。
弱点克服はどうだろう。どこが弱いのか、何が足りないのか、それはよくわかっている。どうしてそうなるのかも、ある程度は見えている。じゃあ、その先は・・・
そこに大きな違いがある。治療法や薬、それらをどう用いるか。多くの場合、そこまで意識が向かわず、結局やれませんでしたで終わる。
自分を知る範囲が、あと一歩足りないのだ。
どうすれば自分が変われるか、何をやれば目的に近づけるのか。それに至る努力の仕方を知っていてこそ、初めて辿り着ける姿。
それこそ、パーフェクトさんが持っている「自分理解」なんじゃないだろうか。
間違えてもらっては困るが、何でもできるところに価値を置きたいわけじゃない。自分を変える努力の仕方を知っていることこそが大事だと言いたい。
世の中に何もかもできる人材なんて、そういるもんじゃない。そう見える、そうなるように努力してきた人は確かにいるが、ごく少数だろう。
実際、努力が形になるのは自分の得意や長所、つまり夢中になれる部分だ。そこに徹底して没頭することで、さらに磨かれ、自分だけが持つ武器となる。
藤原和博さんが自身の著書『10年後、君に仕事はあるのか?』で言っている。
まず、ある分野で100人に1人の存在になる。これなら、誰にでも可能性はありそうだ。次に、違う分野に目を向け、そこでも100人に1人の存在になる。掛け算すれば、100×100=1万人に1人の存在を確保できたことになる。
社会人なら、大ざっぱなイメージとして20代で100人に1人に、30代でもう100人に1人を達成して、1万人に1人にというペースだと藤原さんは言う。
ここまできたら、あと1つの分野で100人に1人の希少性を達成すれば、100分の1×100分の1×100分の1=100万分の1の希少性が実現する。
100万人に1人というのはオリンピックのメダリスト級のレアさであり、同世代でたった1人の存在になれる。
さらに、この話には大事なポイントが隠れている。オリンピック選手は、世界中に100万人いる競技者のトップに立たなければならない。100万人のピラミッドの頂上に立つためには、銅メダルでも99万9997人に勝つ必要がある。
ところが、100人に1人の掛け算を3回繰り返してなれる、メダリスト級の100万分の1は違う。縦社会のトップを這い上がり、争うのではなく、平面上で独自のポジショニングをすればいい。
この違い、可能性という意味で、実はとても大きな示唆を与えてくれる。
誰しも、好きや得意の1つぐらい持っている。つまり、それでチャレンジ第一のステップが踏める。その中で「これも面白そう」「やってみてもいいんじゃね?」という2つめの好きが見つかればしめたもの、チャレンジ第二のステップに挑戦だ。
しばらくはこの2つ、つまり1万人に1人の希少性を発揮して、自分を高めていけばいい。どちらをメインにするかなんて考えなくていい。もちろん1つに決める必要もない。
その都度、軸足の置き方を変えることで届くステージ、見える世界が変わることを楽しめば良い。そんなことを続けていると、やがて次のチャレンジとなる第三のステップが定まっていく。
そう、最初っから「何でもできなくちゃ」と思う必要なんて全くないのだ。
こだわりを大事に
ニッチなことだって大丈夫
好きをトコトン追求し
楽しむ!
ただそれだけでいい!!
そして、そこから見えてくる世界に素直に従う!!!
それこそが、自分にとって最高の「努力の仕方」であり、その道を極めたパーフェクトさんになれる道なのだ。