ガモット・ギャモットどっち?ピザ・ピッツァは?
今回もカラーマネジメントのお話です。
前回ユーザーが実際にワークフロー内で各アプケーションやデバイスを、どのように操作するかお見せしたいと書きました。
しかし、お話を進めていく内に、その前にまだまだ説明すべき用語や考え方があることに気付きます。
前準備をきちんとして、最後しっかりそれぞれがみなさんの頭の中でつながれば良いと思います。
素材を丁寧にカットし、強い火力で一気に炒めるのです。
今日準備する素材は、「色空間」のご説明です。
プロファイルを説明する中で、「CIE Lab」「色域」「色空間」など色を空間で表していました。
私たちは、特にデバイス非依存色・デバイスインディペンデントカラーを立方体(3D)や平面(2D)で表します。
現在のカラーマネジメントでプロファイルコネクションスペース(PCS)として使用されているCIE Labは、L*a*b*の3属性により色を指定ます。
これを座標で表すと、縦横高さの3軸になり、空間で表すことが出来ます。
CIE XYGでは、xyと2属性により色を表します。これを座標に落とし込むと、縦横軸になり面積で表すことが出来ます。
※CIE XYGはXYZと3属性ありそうなのに、なぜxy2属性しか使わないかというと、X+Y+Z=1という関係が成り立っており、xyが分かればおのずとyも導き出されるので省略をされている。
その面積や体積・形は、それぞれのアウトプットデバイスが出力可能な色の範囲と広さを表すこことが出来ます。
アウトプットデバイスでは、出力できる色の範囲は限られます。
印刷やプリントでは、シアンとイエローを100%ずつ掛け合わせた色以上の彩度のグリーンを出力することは出来ません。
モニタでも、RGBカラーフィルターで色を作っているのですが、カラーフィルター以上に彩度が高いレッドを出力することも出来ません。
アウトプットデバイスは、そのインクや紙やフィルターなどの物理的特性によって出力出来る色の範囲が制限されるのです。
カラープロファイル作成するには、プリント印刷ではCMYKパッチを印刷、モニタではRGB値を表示させ、それぞれLab値を測色してそれぞれのデバイス値と結びつけます。
そのLabを3次元の座標にプロットしていくと、そのデバイスが出力出来る範囲を3D空間で表すことができます。
その色空間ので、そのアウトプットデバイスが出力可能範囲な空間・面積のことをガモットと呼びます。より広い色域が出力できるデバイスのことをガモットが広いなんていう言い方をします。
実際のPCSではCIE Labが使用されていますが、複数のガモットを重ねて比較するには2次元のほうがわかりやすいため、xy色度図も多く利用されてます。※CIE Lab->xy色度図は数学的な手法で変換が出来るそうです。
下のxy色度図では、各ガモットが比較表示されています。色がついている範囲が人間が知覚出来る色域となっています。
緑色がJapan Colorという日本の代表的なオフセット印刷方式、赤がAdobe RGB、青がsRGBのガモットです。
興味深いのは、グラフィックアーツに関わっている方だとおそらく聞いたことがある、Adobe RGB/sRGBの形の違いです。
一般的に RGBの方がCMYKよりガモットが広いとされていますが、sRGBが緑色の範囲でCMYKであるJapan Colorよりガモットが狭くなっています。
1996年に制定されたsRGBは、当時主流だったCRT方式(ブラウン管)のモニタのガモットを基準に制定され、CRTは現在のフラットパネル方式より、緑のガモットが狭かったという背景があったからだそうです。
その後、グラフィックの雄Adobeがその弱点を克服したAdobe RGBを制定し、グラフィックアーツの分野ではデファクトスタンダートとなりつつあります。
sRGB/Adobe RGBの違いは、とかくモットの広さだだけに注目されがちですが、Adobeではその形がCMYKをそのまま拡大したような、グラフィックアーツにとっては最適形であるというのが重要なポイントです。
今回はここまでにしましょう。
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今回説明した「ガモット」のことを「ギャモット」とこだわって発音する方がとかく、学術的な方面の方で多い気がします。
この発音は、「ピザ」のことを「ピッツァ」、「カメラ」のことを「キャメラ」と言うがごとく、かっこよさと、気恥ずかしさが入り交じります。
色が混ざって異なった色になるように、違った印象を聞き手に引き起こす可能性が大です。
わたしはびびりなので、「ガモット」と発音しました。
いつものように、どうでもいい話でむずびますが、カバー画像はサンドイッチマンです。M1優勝時の漫才で「ピザ」/「ピッツァ」を扱っているので、この画像にしました。
本日もお読みいただきありがとうございました、「何言ってるか分からない」ようにならないようこれからも精進します。
お粗末様でした。