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【NPO書評】ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い (NHK出版新書)

チャリティソングの金字塔「ウィ・アー・ザ・ワールド」に関する本をたまたま見つけて読んでみました。
チャリティソングの側面ではなく、アメリカの音楽シーンの中での同曲の役割や意義、功罪などを著したものです。すごく読み応えのある本でした。

著者は、山田と同じ1973年生まれで、同世代がリアルタイムで「ウィ・アー・ザ・ワールド」をどう感じていたいのかも読んでいて面白かったです。

ウィ・アー・ザ・ワールドの呪い (NHK出版新書)
 2015/8/8
西寺 郷太 (著)

チャリティソングのことで、「ウィ・アー・ザ・ワールド」のことを話す機会もあるので、その背景を詳しく知ることができたのもよかったです。
・同曲が生まれるまでのアメリカの音楽シーンの歴史(黒人文化と白人文化という人種の壁)
・アメリカの音楽シーンに対抗してのイギリスの音楽シーン
・イギリス発のバンド・エイド(1984年)から、アメリカの「ウィ・アー・ザ・ワールド」の誕生(1985年)(エチオピア飢餓救援)
・「ウィ・アー・ザ・ワールド」のアイデアから実際の録音、そして発売へのドキュメンタリー

あらためて、アメリカ文化における人種の壁というものを知ることが出来ました。
この夏、メタリカのコンサートのライブビューイングを見た時に、集まった観客を10分くらい映していたのですが、観客はほぼ白人だったということがとても印象に残っていました。本書を読んで、人種によって音楽のカテゴリーの好みもだいぶ違うんだなということをようやく理解することが出来ました。

ちなみに、チャリティに関する記述は補足情報程度の内容ですが、日英でチャリティソングのプロジェクトに関わったミュージシャンの心情を垣間見ることが出来たのは収穫でした。

アメリカン・ポップス好きな方、チャリティソングマニアにはぜひお薦めします。


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