「なつかしさ」は遺伝するのか? バラ色の回顧-行動経済学の理解と実践28
最近、Z世代といわれるような若者に純喫茶がちょっとしたブームになっているようです。
オフラインの非日常を求める若者が昭和レトロといわれる使い捨てカメラやアナログレコード、昭和レトロをテーマにした西武園ゆうえんちなどが人気になっています。
この記事は定期的に起きるレトロブームの原因と考えられる「バラ色の回顧」についてです。
「バラ色の回顧」とは?
「バラ色の回顧」(Rosy Retrospection)とは、過去の出来事を振り返るときに、良い時の思い出だけを強調して覚えて、つらかったことやよくないことは忘れてしまうバイアスのことです。過去美化バイアスともいいます。
「昔はよかったな」とか「学生時代にもどりたいなぁ」とか、過去を振り返るとその時の良い思い出がばかり出てくることってありますよね。
若い人を見て、「最近の若もんは!」みたいなセリフも「バラ色の回顧」ですね。
昔のものに郷愁感、ノスタルジーを感じるのも「バラ色の回顧」の一例でしょう。
なぜ、Z世代が昭和にノスタルジーを感じるのか?
でも、少しおかしいと感じた人はいるかもしれません。
「Z世代は昭和レトロは経験していないのでなつかしさを感じることはないのでは?」です。
実は、懐かしさの感情の「ノスタルジア」には2つの種類があるそうです。
個人的ノスタルジアと歴史的ノスタルジアです。
個人的ノスタルジアは、実際に自分が経験したエピソード記憶で、歴史的ノスタルジアは意味記憶と言って、言葉の意味や概念に関する記憶のことです。
Z世代が昭和レトロに感じるノスタルジアは後者の意味記憶につながるものなのです。
例えば、江戸時代からあるような古民家に懐かしさを感じるのと同じです。上の世代やメディアから伝えられた「古民家」に関する意味記憶が懐かしさとなってあらわれてくるのです。
また、ノスタルジアには幸福感が含まれているそうです。それに触れることによって味わう「なつかしさ」には「幸せな気持ち」が伴うのです。
Z世代が昭和レトロに触れることによって感じるなつかしさの構造が見えてきました。
バラ色の回顧をマーケティングに活用するには?
「西武園ゆうえんち」はまさにマーケティングへの活用例です。でも、なつかしいだけだとすぐ飽きられるはずです。
「西武園ゆうえんち」もただただ昭和レトロではなく、「ゴジラ・ザ・ライド」のような新しいアトラクションとしての面白さがしっかり付加されています。
新しさの中に「懐かしさ」の要素を加えることがマーケティング上のヒントとなるでしょう。
まとめ
過去の出来事に対してポジティブな面だけを見つめる「バラ色の回顧」と昭和レトロについて解説しました。ぜひ、自社の新商品に懐かしさの要素を加えることができないか、検討してみてください。
参考文献はこちらです。
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