保有効果を一層高めるファン・マーケティングとは-行動経済学の理解と実践63
保有効果とは、自分が一度所持してしまうと持っていない人よりもそのモノに対して高い価値を感じてしまうことで、認知バイアスの一種とされています。
コーヒーメーカーをオフィスに設置してカートリッジを定期購入する「〇〇〇〇〇アンバサダー」も無料でコーヒーメーカーを貸与することで手放したくないという思いを喚起する保有効果を狙ったマーケティングです。
他にも、DMに「あなたに無料プランを差し上げます」的なメッセージも保有効果を狙ったものと言えるでしょう。無料でも一度もらってしまうと自分のものですで、失いたくないという思いが働いてしまいます。
このような書き方をすると上記のようなプロモーションはすべて悪徳のような感想を持たれるかもしれませんが、そういうわけではなく良い方向へと導いてくれる(ナッジ)かもしれませんので、合理的に判断すべきでしょう。
保有効果は、一度、得たものを失いたくない損失回避性や投入してしまった費用を無駄にしたくないサンクコスト効果とも関連が深いです。
では、もっとも保有効果を感じてくれる顧客とはどんな人たちでしょう?
答えは明白で、自社の商品・サービスのファンになってくれる人です。
前述のコーヒーの例でも、「アンバサダー=大使」はそのコーヒーブランドの熱烈なファンであり伝道者であるということを意味しています。
つまり、自社のファンになってくれそうな人に自社とその人をつなぐ何かを持ってもらうことで保有効果(=高い顧客価値)が生まれるのです。
どこの店舗でもあるようなポイントカードもためれば割引するだけではなくて、一年間の総ポイント数でダイヤモンドメンバー特典を作るとかすれば翌年も常連で居続けようとする動機になるかもしれません。
そして、店舗接客業であれば、実はもっと大事な顧客と共有できるものがあります。
それは、人間関係です。
一度、お客さんがいい印象を持てば、また来てくれるようになります。個人的な関係でなくても、居心地の良さはお客さんも何度か通ううちに高まってきますし、その心地よさは失いたくないものとなります。
そのように、良い接客、良い雰囲気を作るように心がけることが顧客に高い保有効果をいだいてもらえる近道となるでしょう。
最後までお読みいただき有難うございます。