ゾーンに入った? ホットハンドの誤謬-行動経済学の理解と実践56
今年の夏の高校野球もいよいよ決勝まできましたね。この猛暑の中、選手の精一杯のプレーが繰り広げられて盛り上がってますね。
ということで、今日はちょっと野球を題材に始めてみたいと思います。
あなたはプロ野球の監督です。現在、9回裏、あなたのチームは5−4で勝っています。ところが、抑え投手が連打を許し現在2アウト2、3塁の逆転サヨナラのピンチです。
次の3番打者は打率は2割5分程度ですが、今日は絶好調で3安打打っています。次の4番打者は3割打者で、本塁打王争いをしている強打者ですが、今日はタイミングが合わずここまでノーヒットです。
あなたは、この3番打者と勝負させますか?それとも敬遠して4番と勝負させますか?
答えは、、、、わかりません。
抑え投手との相性なんかも重要な検討要素ですからね。勝負は時の運でもあります。
ただ、3番打者の敬遠を選んだ方は、もしかするとホットハンドの誤謬にとらわれているかもしれません。
ホットハンドの誤謬とは?
もともとは、バスケットボールのたとえから来ており、3回連続してシュートを決めた選手が4回目も決めるに違いない、と思い込まれることです。
シュートを決めるホットハンド(熱い手)から来ています。
たしかに、スポーツの世界ではよく見かける光景です。「ゾーンに入る」という言葉を使いますが、サッカーでもゴールキーパーがやたらと好調でその試合はどこに蹴っても止められてしまう、みたいなことがあります。
とはいえ、「平均への回帰」という統計学的現象が示す通り、ある一定時期に絶好調でたまたま高確率でヒットが打てても、いずれ調子を落としてその選手の実力に伴った打率におさまることも実証されています。
マーケティングへの活用は?
例えば、新商品を発売した際に反響がよく発売前の予測を大きく上回ったときに、「ホットハンドの誤謬」を意識するべきです。
営業現場では、好調な売上を理由に強気の予測を立ててくるかもしれません。その際に、マーケティングとしは競合の状況や市場の反応を冷静に分析しなくてはなりません。
ただ、勢いというのは非常に重要です。営業の強気の姿勢に水を差さないようにしましょう。これはスポーツでゾーンに入っている選手を交代するようなことをしてはいけないのと同じです。
まとめ
マーケターは冷静な分析家であると同時にチームに熱を注ぐモチベーターでなくてはなりません。好調な売上の状況を分析しつつ鼓舞することが必要です。
ホットハンドの誤謬と言いましたが、別の言い方は「ホットハンド効果」です。うまく活用して「できるに違いない」と思えるように背中を押しつつバックアップのプランを練りましょう。
最後までお読みいただきありがとうございます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?