「ダブルハーベスト」を読んで
AI開発、5割は失敗
5月24日付の日経新聞朝刊の記事でこの見出しを見つけたのはちょうど本書を読み終えた翌日のことです。
本書を読むきっかけとなったのは、あるラジオ番組で著者の話がわかりやすくて、興味を持ったからです。
先日、アマゾンで購入した商品の誤配送の経験をしました。配送完了になっているのに商品が届かなかったのです。配送状況を確認しようとカスタマーサービスの電話番号を探しても見つからず、仕方なくチャットボットにつなぎました。やりとりめんどくさそうなイメージだったのですが全く違和感なくて、しかも非常に丁寧に対応されたので「これって本当にAI?」って疑問に感じるくらいでした。
こんな感じで生活の中にAIは自然に一緒に存在しています。スマホをいじりながらのちょっとしたページ閲覧とかSNSのつぶやきやらつながりが分析されていると思うと気持ち悪くも感じます。でも、より良いモノ・サービスを提供するための努力と考えれば、覗かれていてもあまり気にしないでもいいのかな、とか大雑把に考えています。
本書において、AIを導入する際の戦略性を持った仕組みづくりについて勉強することができました。
AIを活用すれば、人が実力を発揮すべき専門的、創造的な仕事に集中するためにコラボレーションを組むことでより生産性を上げることができます。
AIを活用することで実現できる価値としては下の5つが上げられます。
①売上増大
②コスト削減
③リスク/損失予測
④UX向上(顧客経験の向上)
⑤R&D加速
上記の最終価値とそれぞれのケースにそって、人の関与度合いを決定します。
完全自動化→ヒューマンヒューマンインザループ→エキスパートインザループ
上記の基準にそって戦略構築のための基盤構築をしますが、大事なのはそこからです。
本書の題名にもなっている「ダブルハーベスト」。
二重の収穫を得ることができるシステムが他の追随を許さない競争優位性になります。
AIはデータを集積し、そこから学びます。基本フレームワークの中で学びレベルアップし提供する価値を向上させることできるのです。
その学びの成果は基本的価値だけでなく波及効果としてさらなる価値向上をもたらします。
アマゾンの例では、2重ループの構造の中で売り手と買い手が集まる「相互ネットワーク」とスケールメリットの別のループ構造とによって、2つの収穫を手に入れ続けることで現在の地位を築くことができました。
AIは、飽きることなく黙々と働き続けることができるという強みがあります。
単調な仕事の積み重ねから学び成長してくれるAIを2重、3重のループの中で動かすことで自動的に収穫してくれるシステムとすることが可能になるのです。
AIって言われても、縁遠いイメージしかなかったのですが、「AIはすでにコモデティだ」「技術者のものではなく、技術は簡単に他所から借りてこれる」という言葉を聞いて少しやる気になりました。
じゃ、何から始めるか?
「今まで人がやっていた事がデータになる」って事がポイントなのかな、と思います。利用の仕方は後で考えるとして、人に関わることのデータ化に取り組んでいく。フレームワークは大きな枠で考えて、AIを実装するまで持っていく。そこから徐々に精度を上げて、2重、3重ループ構造を作っていくって流れかなと思います。
AIは高い技術力が必要で大きな投資が必要なイメージでしたが、本書からもっと身近に活用することができるということがわかりました。そして、うまくループを作れば、少ない人手で自動的に成長し稼げるシステムなりうるのだと。
「よし。今年中に自分の仕事の中に取り組んでみよう」と心の中で決意を新たにしました。
事例のダウンロードサービスもあって、具体的なイメージを創る上で有益でした。
AIに特に詳しくない方でも良書ですのでおすすめします。
最後まで、お読みいただき有り難うございました。