推し活でお金を使いたくなるワケは感情ヒューリスティックにあり?-行動経済学の理解と実践50
近所の雑貨屋で1個300円くらいで売られているマグカップ。
ところがそのマグカップに人気アイドルの顔写真とロゴをプリントすると価格が10倍に跳ね上がります。
ファンは、”推し活”と称して喜んでマグカップを買っていきます。そして、まだ使えるのに新しい写真のマグカップがあるとまた購入して部屋には使わないマグカップがいくつもあるという状態になります。
今回は、このような推し活の心理背景にある感情ヒューリスティックについて説明します。
感情ヒューリスティックとは?
感情ヒューリスティックは、感情的な好き・嫌いの要素で決定し合理的な判断を行わなず評価してしまうことをいいます。
前述の推し活はその典型例ですが、ブランドに対しての評価にも同じことがいえます。
例えば、ドイツ車のメルセデス・ベンツが好きだったとしましょう。高級車ブランドであり、頑丈で安全なイメージがあります。
このメルセデス・ベンツ、実は自転車を販売しています。メルセデス・ベンツの自転車については、自動車と同じで高級、安全、頑丈という同じイメージをいただくことができるでしょうか?
当然、メルセデス・ベンツのブランドイメージを守る必要がありますから自転車の品質にも十分にこだわっているはずです。でも、もしかすると他の自転車専業メーカー(たとえば、シマノ)の方が品質的にも価格的にも良い商品があるかもしれません。
メルセデス・ベンツの熱烈なファンの人はそういった合理性は必要なく、この自転車が欲しいと思います。
感情ヒューリスティックによる意思決定が全て悪いということではありません。第三者からすると非合理的な支出であっても、当事者の心理的な満足が満たされるのであればそれは十分に理にかなっていると言えるからです。(とはいえ、生活が苦しくなるほどの偏った支出は避けるべきではありますが)
マーケティングに活かすには?
自社の商品にアイドルの名前を入れるのはなかなか難しいと思います。では、顧客の感情ヒューリスティックを引き起こすほどファンになってもらうにはどうすれば良いでしょうか?
その一つの方法がブランド・ストーリーです。
ブランド・ストーリーとは、ブランドにまつわる作り手や従業員、顧客の思いを物語にしたものです。
感動的なストーリーは、顧客の心を惹きつけ記憶にとどまることができます。
ブランド・ストーリについてはこちらにまとめています。
自社の商品・サービスに込めた想いをストーリーにして顧客の心を掴みましょう。
まとめ
好き・嫌いを基準にして意思決定を行う感情ヒューリスティックについてでした。
モノが溢れている現代においては、購入に際しても好感が持てるかどうかは非常に重要になっています。アイドルだけでなく一般日用品におけるまでその基準は広がっています。
まず、想いを込めて製品・サービスを提供することを心がけて、顧客に応援してもらえるような関係構築を目指しましょう。
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