セコマの「衰退戦略」とは-日経記事『コンビニ大全12』より
「あ、そういえば、そんな名前のコンビニあったな」くらいの印象しかありませんでした。
北海道に旅行した際、かろうじて見かけたような気がする程度ですが、セコマ(セイコーマート)は北海道で道内人口カバー率98%を誇るコンビニチェーンだったのだと知りました。日経記事(9月7日付)で、同社の戦略がセブンイレブンの逆を行く「衰退戦略」と名付けられていることに興味を持ちました。
1. セコマの競争優位性
セコマ(セイコーマート)は北海道を基盤に約1200店舗(そして、埼玉・茨城にも100店舗弱)を展開する、日本で最も古いコンビニチェーンの一つです。競争優位性のポイントは、独自の「自前主義」にあります。セコマは自社で食品工場、農場、水産加工会社を持ち、原料の生産から加工、流通まで一貫して行う体制を整えています。これにより、物流網を含むサプライチェーンを独自に築き、他のコンビニチェーンとは一線を画す運営を行っています。プライベートブランド(PB)商品の比率も高く、価格競争力と品質管理の両方で優位性を保っています。
さらに、セコマは「ホットシェフ」という店内調理システムを導入しており、フライドチキンやカツ丼など、北海道産の食材を使用した総菜が充実しています。こうした日常利用において飽きのこない商品づくりを意識し、地域密着型のサービスを提供しています。
2. セブンイレブンの逆を行く「衰退戦略」
セコマは他のコンビニチェーンとは異なる「衰退戦略」を取っています。大手チェーンがフランチャイズ展開やグローバル展開を進める一方で、セコマは直営店にこだわり、80%を直営店とすることで地域密着の経営を実現しています。地域の人口減少が進む中、セコマは店舗数を増やすのではなく、地域と「共生」し、時には「共衰」する戦略を取っています。これは、地域の人口が減少しても店舗を維持し、地域インフラとしての役割を果たす姿勢です。例えば、人口が著しく少ない地域にも店舗を維持し、住民の生活を支える取り組みを続けています。
セコマはグローバル展開や規模の拡大ではなく、地域の深掘りと共存を目指しており、「成長」という概念に依存しない持続可能なビジネスモデルを追求しています。このように、セコマは大手チェーンが進む方向とは真逆の戦略を取ることで、独自の競争優位性を確立しています。
まとめ
セコマの競争優位性は自前主義と地域密着型のサービスにあり、大手コンビニとは異なる独自の路線を歩んでいます。「衰退戦略」とも言える地域と共に歩む経営方針は、北海道という地域性を活かし、持続可能な経営を目指しています。この戦略は、大企業と対抗する多くの中小企業にとっても参考になるかもしれません。規模の拡大だけを目指さず、地域や顧客との深いつながりを重視することで、競争力を高めることができることを示しています。
是非、次回北海道に行く機会がありましたら、セコマで買い物をしたいと思います。