威光価格に効果がある理由とは? ヴェブレン効果-行動経済学の理解と実践38
近所の商店街の小さなカバン屋さんでヴィトンのバッグが1980円で売られてたらどう思いますか?
たぶん、誰も本物とは思わないはずです。
場所もありますが、値段が「ニセモノです」って言っているようなものです。
「価格」がラグジュアリーブランドの品質や排他性のものさしとなっているのです。
要するに、値段が安くなってしまうと欲しいと思う人は少なくなるのです。
名声価格、威光価格、イメージ・プライシングなど、いろいろな呼び方があります。
普通の商品は価格が上がると製品の需要は下がるのですが、価格が上がった方が(上限はあります)、需要も上がるのです。
なぜ、高い価格を顧客が払いたくなるのか?
理由はいくつかあります。
一番大きな理由は、価格を品質の証明と考えるからです。
「安物買いの銭失い」という諺があります。
安いもの=粗悪品というイメージができているのです。
そして、この品質への信頼は価格のプラシーボ効果も生んでいるとされています。
ある研究で、価格が高い栄養剤を飲んだアスリートと値札は安いが中身は同じ栄養剤を飲んだアスリートを比較すると全社の方が高いパフォーマンスを発揮したという研究データがあるそうです。
今回は、もう一つの理由であるヴェブレン効果について説明します。
ヴェブレン効果とは?
ヴェブレン効果とは、高価なものを所有して自己顕示意欲を満たして優越感に浸りたいという心理作用によって需要が増加することを言います。
「衒示的消費(げんじてきしょうひ)=みせびらかしの消費」ですね。
すごくバブル的な消費意欲に聞こえますが、だれしも少しは持っている煩悩の一つです。
いづれにしろ、高級ブランドが高くても買いたくなる理由は、自己顕示意欲による部分が多いことは納得できると思います。
マーケティングにどう生かす?
数量限定にすることで希少性を持たせることで高価格を実現しているブランドは多いです。フェラーリは20万ドル超のスポーツカーの販売台数を7,000台未満に制限しているそうです。
他にも販売チャネルを限定するなど、ラグジュアリーブランドとしての戦略として採用されています。
しかし、世の中はこのような消費のスタイルに対してあまり好意的でなくなっていると思います。
一方で、上記のような見せびらかし消費よりも社会的選好の方に重きを置いた消費の比重が高まったいるように思います。
社会的選好とは、自分の属する社会にとって良い見返りを期待した行動をとることです。
要するに、環境に配慮した商品や人道的な配慮がされたものへの消費です。
これからは、社会的選好を重視した威光価格(高価格戦略)にあるのかもしれません。
まとめ
威光価格が成功する要因としてのヴェブレン効果と、そこからさらに深めて社会的選好を意識した高価格戦略のあり方について考えてみました。
例えば、アウトドアブランドのパタゴニアは環境に配慮したブランドとしてのイメージがあります。フリースなんかですと明らかにユニクロよりは高いですよね。パタゴニアのアパレルを着ることはかっこよさもありますが、環境意識への共感を示したいという気持ちの表れでもあると思います。
そのような想いを価格に乗せることができればラグジュアリーブランドよりもはるかに説得力のある威光価格になると思います。
最後までお読みいただき有難うございます。