eスポーツ市場の潜在可能性
2020年に「eスポーツって何?マーケターとして知っておきたい成長市場へのアプローチ方法を解説」という記事を書きました。
その際はeスポーツ市場について主に以下のようなことを書いています。
eスポーツ市場が全世界的に急成長中。主なポイントは以下の通り:
市場規模の急成長
世界のeスポーツ市場規模は、莫大な投資と国際的な注目により拡大しています。スポンサーシップ、広告、放送権、イベントチケット販売が収益の柱となっており、プロ選手も年収1億円以上を稼ぐケースが増えています。エンタメとスポーツの融合
伝統的なスポーツと同様に、観客が競技を観戦し応援する文化が形成されつつあります。さらに、ゲーム配信プラットフォームやSNSを通じたファンとの双方向コミュニケーションが、eスポーツをさらにエンターテイメント化しています。企業参入のチャンス
日本企業にとって、eスポーツは新しい市場への入り口であり、特に若年層の消費行動を捉えるための重要な手段として期待されています。
しかし、当時から日本は他国と比較すると市場規模や政策面での遅れが課題とされていました。
日経新聞(1月27日付け)でも、日本はeスポーツ後進国として他国から遅れをとっているとを報じています。
市場成長が遅れている原因
最新のデータによれば、日本の市場規模は194億円にとどまり、アメリカの6分の1程度に過ぎません。
規制と固定観念
景品表示法の影響で高額賞金イベントが制限されてきたことや、「ゲームは遊び」という固定観念が、業界の発展を阻害してきました。近年はJeSU(日本eスポーツ連合)によるプロライセンス制度の導入など進展が見られますが、司令塔不在の問題も残っています。国際競争力の欠如
アジア大会や国際大会で表彰台を逃すなど、選手層の厚みや競技力の向上が課題とされています。
世界の動き—参考にすべき他国の成功事例
一方、韓国、中国、アメリカ、さらにはサウジアラビアのような新興市場では、官民一体となった大規模な支援が進められています。
韓国と中国
韓国は政府主導でプロリーグを設立、中国ではeスポーツが正式競技として認定されています。両国は、eスポーツを戦略産業として位置付け、巨額の投資を行っています。サウジアラビア
初のeスポーツワールドカップを開催し、公的資金を6兆円以上投じる計画を発表。国家プロジェクトとしての注力度が際立っています。
日本が取るべき次の一手
日本がeスポーツ市場で成長を遂げるために、最も重要なのは認知の拡大です。熱心なファン層はすでにeスポーツに夢中だと思いますが、多くの一般消費者にとって、eスポーツ自体の認知は低いと言わざるを得ないでしょう。逆に、世界でこれほどの人気であることも知らない人が多いと思います。また、「ゲーム=オタク」という固定観念を払拭し、多様な層にeスポーツの可能性を伝えることも重要です。eスポーツ普及には以下のような取り組みが考えられます。
eスポーツの認知度向上キャンペーン
学校や企業、地方自治体を巻き込み、eスポーツの魅力を幅広い層に伝える普及活動を展開します。公共施設や学校での体験イベント、教育的要素を取り入れたプログラムなどを通じ、eスポーツの社会的意義を広く発信します。「ゲーム=オタク」のイメージ払拭
eスポーツが健全で魅力的な競技であることをアピールするため、著名人やアスリートを活用したプロモーションが有効です。また、地域や家族で楽しむイベントを通じ、誰でも楽しめるスポーツとしての認知を広める取り組みが重要です。地方からの発信—地方創生の手段としてのeスポーツ
市場が未熟な今こそ、地方がeスポーツを活用して新たな市場機会をつかむ絶好のタイミングです。地方都市でのeスポーツイベントや大会の開催は、地域住民だけでなく、観光客の誘致にもつながります。また、地域の文化や特産品をeスポーツイベントと組み合わせることで、地域独自の魅力を発信し、地方創生の新しい手段となり得ます。官は規制の見直しに専念する
官は過剰な介入を避け、規制の見直しに集中するべきでしょう。特に景品表示法の規制緩和等を進め賞金を伴う大会の開催を容易にし、業界の自主的な成長を促進する環境整備が必要です。トレンドは官主導で起きることはないです。
まとめ
日本はソニーや任天堂、セガなど、世界有数のゲーム大国です。しかし、eスポーツにおいては他国に水をあけられているという現状です。逆にとらえると、まだまだ市場成長の見込みがあるということです。潜在的市場成長の可能性は極めて大きいといえるでしょう。