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一物多価で収益と競争力を最大化しよう

日経新聞で、「物価を考える」が12月28日から連載記事として掲載されています。

ここ数年で、いろいろなモノの値段が実際に上がりました。ビジネスでの価格交渉と消費者としても物価高騰に直面して、社会全体が慣れっこになってきたところもあるような気がします。

実感としてB2Bの価格交渉の現場も以前は随分と長い時間と労力をかけて説得していたようなことが、お互いにそれでは業務が追いつかないというような事情もあってすんなりと受け入れられるということが多くなったように思います。

逆に、物価が上がらない、給料も上がらない時代が長く続き、それが前提条件になって、社会的な習慣や規範意識として根強く残ってしまうような状況を「ノルム」というそうです。

最終的には消費者に届く最終製品の価格に上乗せされて販売されることになりますから、マーケターとしては消費者に選んでもらうために競争力を保ちつつ収益を確保に努めなくてはならず価格戦略にはより一層の知恵と労力が求められています。

そこで重要な考え方となるのが「一物一価」からの脱却です。

従来は、顧客の不満を避けるためにも、同じ市場の同時点におけるモノ・サービスの価格は同一であるべきと考えられています。

この値付けにおける鉄則が崩れ「一物多価」ともいえる状況が生まれつつあるのです。

代表的なものは、ホテルや航空券などでも馴染みが広がっている変動価格制(ムービングプライシング)です。繁忙期には価格を高く設定し、売れ残りを無くすために時期が近くなると価格を下げて売り切りを目指すものです。

スーパーの惣菜コーナーなど、夕刻になると見切り価格として半額にするなどは昔から行われていました。最近はフードロスを無くすことを目指してコンビニなででも「手前どり」と称して、賞味期限が近いものを割引していますが、これも変動価格制の形です。

「スーパーのフードロスを無くそう」のワゴンにはパン、お米などもあります。

マーケティング・ミックスの4Pの中で、価格戦略は唯一企業に利益をもたらすプロフィットセンターとされています(他は、投資が必要となるコストセンターです)。また、最終的に価格を決めるのは企業ではなく顧客であるとも言われています(高いと結局買ってくれないから)。

それだけに、マーケターはこれまで以上に顧客が認める価値を見極めて、価格を動かせるセンスとスキルを磨くことが今の時代には求められている、と言えるでしょう。

最後までお読みいただき有難うございます。


#日経COMEMO #NIKKEI

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