デフォルトで顧客をラクにさせてあげよう-行動経済学の理解と実践8
今回は、行動経済学を実際の商品・サービスに応用するナッジの一つデフォルトについて説明します。
ナッジとは、「小突く」という意味で人を正しい方向に向かうように軽く押してあげることを指します。
デフォルトとは、はじめから何かを選ばれている状態にしておくことで、選択する人がその選択をしやくすることをいいます。
選択をする側から見るとデフォルトに設定されているものは、そうとは言ってなくても「これが普通の選択」もしくは「これがおすすめの選択」と理解することで頭を悩ます必要がなくなります。
はじめて入った飲食店で何を頼もうか悩んだときに、メニューに記載された「人気ナンバーワン」とか「おすすめ」のマークが役に立ちます。「本日のサービスランチ」も、一目で今日はこれがお得なんだなと気づかせてくれます。このようなマークもお客さんが多くのメニューから選択するのに迷わないようにデフォルトを設定していると言ってよいでしょう。
クロスセリングにデフォルトを使うことも可能
ある商品を購入しようとしている顧客に別の商品やサービスを購入してもらい顧客単価を上げることをクロスセリングといいます。
ネット販売で商品を決済する際に追加で購入を勧めたい商品をデフォルトで見せることで購買喚起することができます。
ただし、購入の際には後々になって後悔するような形になると顧客満足の低下に津がなりますので、選択解除が簡単にできるようにしておかなくてはなりません。
良い方向に導かないと意味がない
デフォルトに設定するものを顧客のことを考えずにこちらの都合だけで設定してしまうとどうなるのか?
選択して得られる結果がどうみても悪いと思われる場合には別の選択(オプトアウト)に変えられます。ちなみに、悪い方向に人を導こうとすることをスラッジといいます。英語のsludgeは、ぬかるみの意味があって、人の行動を妨げることをいいます。
こちらの都合を優先してデフォルトにすることはすぐに魂胆がバレてしまうのでやめておきましょう。
しつこいのも良くない
一度、オプトアウトされたにも関わらず何度も初期値(デフォルト)に戻すようなことはサービス全体への信頼を損なうことにつながりますので避けましょう。
まとめ
行動経済学から生まれたナッジの一つ「デフォルト」について説明しました。ナッジにおいて、重要なことは「倫理観」です。ただし、方向に導こうとする親心(パターナリズムといいます)がないと悪評を招きかねません。次回以降でさらにナッジの手法を紹介します。
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