6次産業化で地方の価値最大化
6次産業とは、農業を中心とした1次産業に、加工や流通、販売といった2次・3次産業を組み合わせることで、新たな付加価値を生み出す取り組みです。「1×2×3=6」という計算式に例えられ、農業者が収穫物を自ら加工・販売し、観光などのサービスを提供することで、持続可能なビジネスモデルを構築することを目指しています。日経新聞(9/21付)では、この6次産業化が進み、農村地域が再生している事例が紹介されていました
栃木県大田原市
全国でも最も売上増加が大きかったのが栃木県です。大田原市では、農村に宿泊して農作業や地域の食文化を体験する「農泊」が注目を集めています。農泊は、農村地域に訪れる旅行者に農作業体験や地元の食事を提供することで、観光産業と結びつけて地域の経済を活性化させる取り組みです。大田原市では、180軒の農家がこの取り組みに参加しており、訪日外国人旅行者も増加していることが特徴です。観光は、宿泊や飲食、物販など、地域全体に波及する効果が大きく、農泊によって収益が倍増した農家も存在します。
また、同県茂木町では、地元特産のユズや米粉を使ったバウムクーヘンが人気商品として成長し、道の駅も観光客に賑わっています。年間180万人が訪れるこの道の駅は、農産物の販売だけでなく、地域の魅力を発信するハブとなっています。こうした6次産業化の取り組みは、地域の農産物を活かしつつ、農家に新たな収益機会を提供し、地域全体の価値を高めています。
農業と観光を結びつけた北海道
全国で最も6次産業の売上規模が大きいのが北海道です。北海道では広大な土地を活かし、観光と農業を融合させた取り組みが行われています。特に、北海道のメロン農家では、観光客に収穫体験を提供しながら、新鮮なメロンをその場で味わえるサービスを展開しています。この取り組みにより、農産物の販売だけでなく、観光資源としての価値も最大化されています。また、観光と連携することで地域全体の経済活性化が図られています。
こうした取り組みにより、北海道の農家は農産物の付加価値を高めつつ、観光による新たな収益源を得ることができています。観光シーズンに合わせた商品開発や販売戦略も進められており、農業と観光の相乗効果が生まれています。
6次産業化がもたらす地域再生の可能性
6次産業化は、地域の持続可能な発展に向けた重要な取り組みです。農業、加工、観光を一体化することで、これまで以上に高付加価値を生み出し、地域経済を活性化させることができます。特に、観光と結びつけた取り組みは、農村の魅力を都市部や海外からの観光客に広める役割を果たし、地域の経済基盤を強化する力となります。
農業離れが進み、生産者の高齢化が課題となっている中、地域に新しい担い手を引きつける効果も期待されます。徳島県では、若者が農業に参入する動きが進んでおり、キュウリを使ったジャムなど新しい加工商品が誕生しました。地域に交流施設や体験施設を設けることで、新規就農者が増え、農家の平均年齢が若返るなど、地域の未来を担う人材育成にも寄与しています。
まとめ
6次産業化は、農村地域の価値を最大限に引き出し、持続可能な発展を目指すための強力な手段です。農業だけに留まらず、加工や観光と結びつけることで、新たな収益機会を創出し、地域の魅力を広げることができます。北海道のように、観光との融合によって地域経済が大きく発展する可能性がある地域も多く、官民が連携し、農村地域の発展に向けて取り組むことで、地域再生が現実のものとなり、未来への希望が広がるでしょう。
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