僕が就職せずに作家になった理由
僕は大学を卒業してから今まで企業に就職したことがありません。
就職しなかった理由は、ただ、できなかったからです。
実は、稼ぐ力がなくて職業訓練でウェブデザインを習って
ウェブ関係の就活をしたことがあります。
でも、受からなかったんです。
さらに美術関係の就活では
小さな美術館の管理とか、
ペンキ屋さんの面接なども受けたこともあります。
でも、全部ダメだったんです。
就職活動に失敗するというのは、割とダメージが大きいけど
どこかで「漆を続けるための食いぶち」みたいな気持ちがあったから
受からなくても当然な部分もあるのです。
でも、二十代の頃はやっぱり将来が不安でした。
それに何も社会に貢献できていないようで、毎日恥ずかしかったです。
それでも恥ずかしい気持ちながら漆を続けていました。
「将来のことを考えろ」とか
「もっと安いもので買いやすいものを作れ」というのは
すごくたくさん言われました。
それに対して「最高の作品を作って見返す」という気持ちが強くなったのもこの時期です。
僕にとって幸運だったのは
一番の身内に「将来のことを考えろ」といってくる人が一人もいなかったことです。
もし信頼している人や家族に「将来のことを考えろ」と言われたら
心折れていたかもしれません。
中途半端な就活に失敗し続けた劣等感とか
悔しい気持ちを抱きながら続けて来た漆だけど、
今となっては就職せずに毎日漆に触れ続けることができてよかったと思います。
たぶん20代の僕は一日も休まずに作業部屋に入っていました。
今もそうだけど、好きなことをしてそれが仕事にできるのは最高だと思います
世界ではまだ無名だけど、これからも嬉々として仕事して、歴史的名作を作ります。