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「弟子にしてください」と言われて思ったこと

こんにちは漆芸作家の浅井康宏です。
今日は先日「弟子にしてください」というメッセージを頂いたのでそのことについて書こうと思います。

今回の記事はメッセージをくれたご本人も見ているかもしれません。もし漆をやりたい!弟子になりたい!と思い続けてくれるなら、こういう戦略で僕を説得してみてはどうだろう?という意味も込めて書きました。将来漆を志す仲間として出会えることを心から望んでいます。

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プロローグ

インスタグラムのメッセージのリクエストボックスに1通未読のものがあり、開いてみると
「作品に一目惚れしました。弟子入りしたいです」という内容
今まで、僕のもとで漆を学びたいという方は何人かいたと思うし、その中には弟子としてのスタンスで考えていた方もいるように思います。
でも、僕の考えは「弟子は取らない。スタッフになってください」という姿勢です。
詳しくは後で書きますが、単刀直入に「弟子に!」というのは初めてのことでした。

やりとり

まず、リクエストボックスに「作品に一目惚れしました。弟子入りしたいです」とい短文だったので少し驚きました。
それに対して「まず、お名前やプロフィールをお知らせください」
「〇〇っていいます。高校3年生です」
「漆を学べる大学を目指してみてください」
「大学に行かずに教えてもらうことはできませんか?」
「それはできません」
「わかりました」

思ったこと

このように少々ドライな対応になってしまいました。
だけど、これは仕方ないのです。
僕としてはSNSなどを通じて本名で活動をしています。
インスタグラム上といえども僕にとっては「現実」なので
突然、後ろから肩を叩かれて振り向く前に「弟子にしてくれ」と言われた感覚なんです。
なのでご本人がこれを読んでいたらぜひ参考にしてほしいのですが、
いかなる媒体であろうとも、年齢を問わず
まず自己紹介してから話しかけましょう

そしてここからは漆をもし本気でやってみたくて
誰かの弟子になりたいと思うのならやって欲しいこと
1、さっきも言ったけど礼儀をしっかり
2、相手のことをよく知る
3、業界のことを自分のできる範囲で調べる

上記の三つをやってから行動したほうがいいです。
まず、1は社会人として、人間としてお得なので最低限の礼儀を持って自然に振る舞えることは人生を通して役立ちます。
僕も若い時は「10代、20代は少し生意気なくらいがちょうどいいはず」と思っていたんだけど、そういうのを喜ぶ人もいるかもしれないけど、マイナスになることの方が多い気がします。

2、相手のことをよく知ることは自分のためにもなります。僕は会う予定がある人で著書がある場合、できるだけ読んで会うようにしています、全部読むのは難しくても何冊か買ってみます。
僕の場合、著書、ブログ、YouTubeという媒体で活動しているので、それを読んでから話しかけたらさらに成功確率が上がったと思います。
特に僕は「アンチ弟子制度、これからは会社でクリエイティブすることこそ未来だ」というスタンスであることがわかったはずです。

3、業界のことを調べてみましょう
まず、漆を学ぶには、漆コースがある高校。大学。専門学校。研究所などがあります。その他にも漆教室などもあります。
それを調べて自分の進路について、卒業後も含めて調べてみてください。
特に、今のところ漆芸の世界はなかなか食べてゆくのが難しいと言われています。職人的に関わってゆくのか、作家として生きてゆくのかどのような選択肢があるか、まず知る必要があります。

最後に
漆に一目惚れした!という熱い思いや行動力は何者にも変えがたいあなたの武器になります。

高校三年生という思い悩む時期に「漆を学びたい!」と思ったらぜひ進学を考えてみてください。
僕の作品は全てがプロの現場で生み出されています。
教育現場ではないので失敗が許されないのです。
そのために基礎的な、知識や技術が必要なのです。

漆の世界は素晴らしいです。一生続けられる仕事です。
いつか漆の道を共に歩む同時代の仲間としてお会いできるのを楽しみにしています。


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