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エクストリーム編.激しいメタル音楽を聞きたい人におススメしたい10曲
以前、「初めてメタル音楽を聞く人におススメしたい10曲」という記事を書いたのですが、最近閲覧数が上がっているんですよね。やはりこういう入門編はニーズがあるのだなぁと再確認。
で、前回の記事の書き出しは次のようなものでした。
メタル(ヘヴィ・メタル)と聞いて、どんなイメージがあるでしょうか。この間、メタルを知らない人と話していて気付いたのですが、その人のメタルのイメージは「すごくうるさくて、メロディーがなく、どれを聞いても同じに聞こえるノイズのような怖い音楽」というイメージでした。でも、私のメタルのイメージは「メロディアスで起伏が激しくて演奏が上手い音楽」です。
そんなコンセプトで、前回は比較的メロディアスかつドラマティックなメタルを中心に幅広いメタルを選んでみました。でも、ふと考えてみると激しい音楽、音像って今はけっこう耳にする機会がありますよね。アニメソングとかでもハードロックとかメタル的な音像があるし、ゲーム音楽やアイドルソングにも出てくる。それこそBabymetalは分かりやすい例ですが、そういう「J-POP(やその他の日常的な音楽)」に溶け込んでいるメタルという音像を、さらに掘り下げて聞きたい人のニーズとして「じゃあエクストリームな、激烈なメタルってどんなものだろう」というのもあるんじゃないかなと思いました。
そんなわけで、今回は激烈なメタルを選んでみようと思います。とはいえ、極端なもの(スラミングデスコアとかブルータルデスメタルとか)ばかり選びすぎると本当に「曲の区別がつかない」となりかねないので、それなりに「激烈」とされるジャンルの中で幅広く選んでみました。前回との一番の違いは、ボーカルがグロウルやデス声が中心、というところかな。これは「メタルというジャンルでしか得られない音楽体験」だと思います。
それではどうぞ。
凡例
①出身国
②ジャンル(Encyclopaedia Metallumかwikiの分類)
③活動年
④メンバー構成
⑤気に入った方向けの他のおススメバンド(それぞれ最新作を想定)
1.BODOM AFTER MIDNIGHT / Paint The Sky With Blood
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急逝してしまったアレキシ・ライホの最後のバンド、BODOM AFTER MIDNIGHT。メロデス新世代としてシーンを切り開いてきたChildren Of Bodomをさらに深化させ、デスメタルのアグレッションと正統派メタルのレガシーを高次元で融合させた1曲。デビュー作にして遺作となってしまったEP「Paint The Sky With Blood」からタイトルトラック。
①スウェーデン
②Melodic Death/Power Metal
③2020(活動停止)
④Alexi Laiho(Vo,Lead Gt)
Daniel Freyberg(Rythm Gt)
Mitja Toivonen(Ba)
Waltteri Väyrynen(Dr)
⑤Children Of Bodom、Arch Enemy、Soilwork
2.Anaal Nathrakh / Endarkenment
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アナール・ナスラックと読みます。バンド名はジョン・ブアマン監督の映画作品エクスカリバーに出てくる魔法使いマーリンの召還の呪文から採られているそうで、言語学者のマイケル・エバーソンによればアナール・ナスラックとは蛇の吐息という意味であるそう。暗黒感がありながら突然メロディアスに変わる曲。アンダーグラウンドな薫りを振りまきつつも音楽的快楽度数が高めです。2020年リリースの11th「Endarkenment」からのナンバー。
①US
②Industrial Black Metal/Grindcore
③1999-現在
④Irrumator(Gt,Ba,Programming)
V.I.T.R.I.O.L.(vo)
⑤Behemoth、Iotunn、Dark Funeral
3.RINGS OF SATURN / ABDUCTED
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超絶技巧、アスリートか曲芸かという演奏の極北を目指しているバンド群の一つ。突き詰めるというのは恐ろしいものですね。2010年のデビューアルバム「Embryonic Anomaly」リリース10周年を記念してリメイクした2021年作「Embryonic Anomaly Remake」からのトラック。現在、ボーカルが脱退してしまい今後は楽器隊がメインとなるとのこと。UFOや宇宙人をテーマにしており、自分たちの音楽を「エイリアンコア」と呼んでいます。
①US
②Technical Deathcore
③2009-現在
④Lucas Mann(Gt)
Joel Omans(Gt)
Mike Caputo(Dr)
⑤Origin、Beneath The Massacre、The Faceless
4.Code Orange / Swallowing The Rabbit Whole
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Code Orangeはメタルというよりはハードコアバンドとして扱われることが多いバンドです。実際、Encyclopaedia Metallumには項目がありません。ただ、日本の「ヘドバン」誌では取り扱われているし、ある時点からハードコアとメタルの垣根がなくなっている、融合しているように思うので取り上げます。もともと、パンクとメタルは別の流れで、メタルというのは70年代ハードロックから派生した。だからソロとか、複雑な曲構成がありますが、ハードコアはパンクから派生したので基本的にソロがないし、メロディもそれほどありません。むしろ、パンクのそういう先鋭性を抜き出したものがハードコア。その二つが融合して「メタルコア」となりましたが、それは音像としての激烈さに共通項があったからですね。この曲も攻撃性は高いですが、メロディアスさという点では他の曲とは異質です。比較するとメタルはメロディアスで、ハードコアはメロディが少ない。ジャンル分類はwikiから。
①US
②Metalcore、hardcore punk、industrial metal、alternative metal
③2008-現在
④Eric "Shade" Balderose(Vo,Key,Programming)
Reba Meyers(Gt,Vo)
Jami Morgan(Dr,Vo)
Joe Goldman(Ba)
Dominic Landolina(Gt)
⑤Converge、Lamb of God、Suicide Silence
5.FLESHGOD APOCALYPSE / No
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イタリア、オペラの伝統を感じさせるFLESHGOD APOCALYPSE(フレッシュゴッド アポカリプス)。オーケストラ(サウンド)とメタルの融合を高い次元で成し遂げているバンドです。ロックとオーケストラの融合は60年代からたびたび試みられてきましたが、こういう高次の融合は1999年のMetallicaのS&M以降一気に発展した気がします。もともと、ブルースから発展したロックンロール、そしてハードロックにほかの音楽をどう融合していくか。昨今ではさまざまな音楽(インドのカーナティック音楽やチュニジアのアラブ・アンダルース音楽他、あらゆる「ブルースとは別のルーツ」を持つ音楽)がメタルと融合して拡張していますが、その中でも昔から試みられてきたクラシックとメタルの融合の最新系たるバンドです。専任のソプラノボーカルがいるのも特徴。
①イタリア
②Symphonic/Technical Death Metal
③2007-現在
④Paolo Rossi(Ba,Clean Vo)
Francesco Paoli(Gt,Lead Vo)
Francesco Ferrini(Piano, Orchestrations)
Eugene Ryabchenko(Dr)
Fabio Bartoletti(Gt)
Veronica "ValchiRea" Bordacchini(Soprano Vo)
⑤Dimm Borgir、Enslaved、Eluveitie
6.SEPULTURA / Isolation
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SEPULTURA(セパルトゥラ)は南米メタルシーンの生きるレジェンドです。辺境(非英語圏)の出身ながら80年代からメタル界の最前線を切り開き、いまだに第一線で新しいサウンドを生み出し続けています。大御所でありながらアルバムごとに新規性のある音像を切り開き、挑戦し続けている。MetallicaやJudas Priestに近い探求心を持ち、アルバムごとに音像が変化してメタルの可能性を追求しているバンドだと思っています。その中では一番エクストリームな音楽性を持っているバンドです。サンバのリズムというか、打楽器の乱打をメタルに取り入れた(「Roots(1996)」)先駆者でもあり、後続に大きな影響を与えました。
①ブラジル
②Death/Thrash Metal (early); Nu-Metal, Groove/Thrash Metal (later)
③1984-現在
④Paulo Jr.(Ba)
Andreas Kisser(Gt)
Derrick Green(Vo)
Eloy Casagrande(Dr,Percussion)
⑤Slayer、Kreator、Possessed
7.The Crown / Motordeath
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The CrownはもともとCrown of Thornsというバンド名で1990年に結成、1998年まで活動しましたが同名のバンドが他にいたため1998年に改名、その後、活動休止も挟みつつ現在も活動しています。Death Metalながらロックンロールなグルーブがあり、EmtombedやHellacoptersといったスウェディッシュ暴走ロックンロールの流れも汲むバンド。メタルの源流たるMotörheadからの影響も感じます。何も考えずノレます。
①スウェーデン
②Melodic Death/Thrash Metal
③1998-現在
④Magnus Olsfelt(Ba)
Marko Tervonen(Gt)
Johan Lindstrand(Vo)
Robin Sörqvist(Gt)
Henrik Axelsson(Dr)
⑤At the Gates、Suffocation、The Haunted
8.Whitechapel / When a Demon Defiles a Witch
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Whitechapel(ホワイトチャペル)はDeathcoreシーンを代表するバンドの一つです。メタルコア(明確な定義はありませんが、ハードコア的なリズムのブレイクダウンがあるのが特徴。ゴリゴリのハードコアよりは曲構成がかっちりしていてメロディアスなものが多い)とデスメタルが融合し、デスメタル的なブラストビートやデスヴォイスが取り入れられているのが特徴。2014年の5th「Our Endless War」がビルボード10位に入るという快挙を成し遂げこのジャンルの拡大に一役買いました。こちらは2020年作の7th「The Valley」からのナンバー。トリプルギターで、ドラマーはサポートメンバーというやや変則的な構成。
①US
②Deathcore
③2006-現在
④Gabe Crisp(Ba)
Alex Wade(Gt)
Ben Savage(Lead Gt)
Phil Bozeman(Vo)
Zach Householder(Gt)
⑤Thy Art Is Murder、The Dillinger Escape Plan、Bring Me The Horizon
9.MAYHEM / Falsified And Hated
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ノルウェジアン・ブラックメタルの源流の一つ、MAYHEM(メイヘム)。現在一部界隈で人気の映画「Lords Of Chaos」で描かれたインナーサークルの中心にいたバンドでもありました。初期の中心人物Euronymousを1993年に喪った後で活動休止しますが、ドラマーのHellhammerを中心に1994年に再始動。現在もブラックメタルの帝王として活動中です。こちらは2019年作の6th「Daemon」からのナンバー。
①ノルウェー
②Black Metal
③1984-1993, 1994-現在
④Necrobutcher(Ba)
Hellhammer(Dr)
Attila Csihar(Vo)
Teloch(Gt)
Ghul(Gt)
⑤Watain、Satyricon、Emperor
10.Gojira / Born For One Thing
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Gojira(ゴジラ)はフランスのメタルシーンを代表するバンドの一つです。独特の浮遊感ある音像で現代プログ的な浮遊感覚を持ちながら激烈性、デスメタルのアグレッションを失っていません。これだけとがりながら本国フランスではチャート2位まで上昇、USビルボードでも最高位12位を記録した2021年作の7th「Fortitude」からのナンバー。1996年結成でしたが結成当初は「Gozilla」という綴り。さすがに商標に引っかかりGojiraに2001年に改名して活動を継続しています。メタルバンドはゴジラ好きが多いですね。
①フランス
②Progressive/Groove/Death Metal
③1996-2001 (as Godzilla), 2001-present
④Jean-Michel Labadie(Ba)
Mario Duplantier(Dr)
Christian Andreu(Gt)
Joe Duplantier(Vo,Gt)
⑤Alcest、Opeth、Devin Townsend
以上、「激しいメタルを聞いてみたい人」向けの10曲でした。それでは良いミュージックライフを。
前回作った「初めてメタル音楽を聞く人におススメしたい10曲」はこちら。
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おまけ:もっと激しい音楽を求めている方へ
Brutal Death Metalのプレイリスト(2020)